東京, 01月27 /AJMEDIA/
9年前の2015年、旧「東洋ゴム工業」が国の基準を満たしていない免震装置を製造し全国の建物に使われていた問題をめぐり、株主の男性が会社に損害を与えたなどとして元社長など歴代の経営陣を訴えた裁判で大阪地方裁判所は株主の訴えを認め、合わせて1億5000万円余りを会社に支払うよう旧経営陣に命じました。
9年前、東洋ゴム工業、現在の「TOYO TIRE」が製造した、国の基準にあうようにデータが改ざんされた免震装置が全国のマンションや病院など全国154棟で使われていたことが明らかになりました。
この問題をめぐって、株主の男性は、元社長など歴代の経営陣4人が、製造した免震装置が国の評価基準を満たしていない疑いがあったにもかかわらず、出荷停止の判断や国への報告をせず、会社に損害を与えたなどとして訴えを起こしました。
26日の判決で、大阪地方裁判所の谷村武則 裁判長は「元取締役の2人は、評価基準に適合しない製品が出荷されないようにするべき立場だったにもかかわらず、注意義務を怠り会社に損害を与えた。元社長など経営陣が速やかに国に報告しなかった姿勢は、会社の信用を大きく失墜させた」などとして、合わせて1億5000万円余りを会社に支払うよう旧経営陣4人に命じました。
この問題では、東洋ゴム工業や当時の経営陣は刑事責任は問われず、民事責任についてどう判断されるのかが焦点となっていました。
原告の男性「いい結果になり非常にうれしい」
判決のあと、大阪市内で会見を開いた原告の男性は「免震装置の不正という人の命に関わることで、一人で訴訟したことは勇気がいることだったが、いい結果になって非常にうれしく思っている。不正はできないという認識がほかの会社にも広がれば、社会はよくなっていくと思う」と話していました。
また、原告の代理人の由良尚文 弁護士は「裁判所が不祥事の隠蔽に警鐘をならし、公表が遅れると注意義務違反に問われるとした判断は画期的だ」と話しています。
一方、「TOYO TIRE」は「元取締役の責任が認められたことは重く受け止めています。この問題のあと、会社では経営体制を刷新し、ガバナンスの強化とコンプライアンスの順守に取り組んできました。引き続き、徹底を図っていきます」とコメントしています。