日銀、経済好循環へ正念場 円安・物価高、消費に逆風―「2%」達成でも緩和継続

東京, 7月22日, /AJMEDIA/

 世界的にインフレが進む中、日銀は21日の金融政策決定会合で、大規模金融緩和の維持を決めた。欧米の中央銀行が相次ぎ金融引き締めに動く中、超低金利政策を堅持する日銀のスタンスはひときわ異彩を放つ。ただ、国内でも資源価格の高騰や円安を背景に物価高が鮮明になっており、消費を直撃するリスクがある。賃上げを伴う「良い物価上昇」という好循環につなげられるか、日銀は正念場を迎えている。
 「金利を引き上げるつもりは全くない」。黒田東彦総裁は21日の記者会見で、最近の物価高や円安に歯止めをかけるための利上げを完全否定した。
 日銀は同日公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2022年度の物価見通しを前年度比2.3%(4月時点は1.9%)に上方修正。日銀が掲げる2%の物価目標を達成する見通しを示した。
 それでも日銀が大規模緩和の修正に動かないのは、原油などエネルギー価格の一時的な高騰が物価高の主因だと分析しているためだ。日銀はいずれ原油高は解消し、物価の伸びは23年度、24年度は1%台にとどまると見込む。景気もコロナ禍からの回復途上にあり、利上げは経済に悪影響を及ぼすと判断している。
 一方、欧米は金融引き締めを加速させている。金融政策の方向性の違いから内外金利差がさらに拡大すれば、一段と円安が進み物価上昇が加速する悪循環を招く恐れも否定できない。
 「経済をしっかり支え、企業収益、賃金、物価が緩やかに上昇する好循環を実現するためにも金融緩和を続ける」。黒田総裁は今後も粘り強く現在の緩和策を続け、来年の春闘での賃上げを後押しする考えを重ねて強調した。ただ、それまでに物価上昇が想定を超えて進めば景気は失速しかねない。黒田総裁が目指す好循環の実現はなお不透明だ。

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