日本政府、ウクライナ支援に腐心 専用機で避難民、異例の対応

東京, 4月6日, /AJMEDIA/

 政府は5日、日本への渡航を希望したウクライナ避難民20人を政府専用機に搭乗させる異例の対応で受け入れた。岸田文雄首相はその調整のために特使として林芳正外相をポーランドに派遣。民間人の集団殺害が疑われるロシアへの追加制裁の検討が進む中、ウクライナ支援にも力を注いでいることを国際社会に示そうと腐心している。
 林氏はポーランド滞在中、約2000人のウクライナ避難民が滞在する避難民施設、国境の出入国審査施設などを視察。ウクライナ、ポーランド両国の政府要人と会談を重ね、現場の支援ニーズ把握に努めた。
 その結果、日本に親族ら身寄りがない人を含む20人の希望者を林氏の帰国に合わせ政府専用機予備機に乗せることを決めた。
 移送の根拠としたのは、国賓などの輸送を定めた自衛隊法の規定。人道的配慮から、既に入国している約400人の避難民と同様に、20人にも就労可能な「特定活動」などの在留資格を付与する方針で、住居・医療の生活支援にも万全を期す。
 今回、厳格な難民認定制度を持ちながら政府が避難民受け入れを決めたのは、さまざまな制約の中で、積極的に国際貢献を果たしていることを内外に示すためだ。外務省幹部は「今回の対応が日本の国際貢献の土台になる」と強調する。
 ただ、ウクライナから国外に逃れた人は400万人を超え、ポーランドには240万人以上が流入する。専用機で運んだのが20人だったことに関し、立憲民主党の泉健太代表は5日の党会合で、「政府専用機予備機まで手配しながら、たった20人だ。来たかったのに来られなかった人がいるなら問題だ」と語り、さらなる対応を求めた。
 ウクライナや周辺国に対する人道支援をめぐっても、日本政府が打ち出した緊急人道支援は2億ドル(約246億円)。米国は10億ドルの支援を打ち出しており、自民党内からは「世界第3位の経済力の日本としては全然足りない」(佐藤正久外交部会長)との指摘が出ている。
 首相は、林氏のポーランド訪問や、モルドバに派遣した調査団の結果も踏まえ、さらなる支援策を検討する方針。ウクライナ周辺国に自衛隊の医官派遣を求める声もあり、物的・人的両面で先進7カ国(G7)の中で見劣りしない支援を探る。

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