東京, 9月3日, /AJMEDIA/
防衛省は2024年度予算概算要求で、ミサイル警戒に専従する「イージス・システム搭載艦」の導入コストの総額と船体の詳細を明らかにした。要求する2隻の建造費と実射試験準備などの関連経費計約4900億円に加え、これまでに取得した米ロッキード・マーチン社製の大型レーダー・武器システムなどの費用を含めると総額約9000億円に膨張。昨年12月の防衛力整備計画(23~27年度)策定時の積算より約2000億円増えた。
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防衛省はコストが膨らんだ要因として、設計が具体化したことや円安に伴う調達価格上昇などを挙げ、「装備品のまとめ買いなどによる効率的な取得を進めて上振れ分を捻出する。防衛力整備計画で定められた5年間の防衛費約43兆円の枠は守れる」としている。
新型イージスは、秋田、山口両県への配備を断念した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替措置として導入。ミサイル防衛の要とされるが、同省は反撃能力(敵基地攻撃能力)に使える米国製巡航ミサイル「トマホーク」(射程1600キロ)の搭載も計画し、海上自衛隊幹部は「防空と反撃能力と合わせて『浮かぶ要塞(ようさい)』のような存在になる」と話す。
船体は長さ190メートル、幅25メートル、基準排水量1万2000トンになる見込みで、最新鋭イージス艦「まや」型(8200トン)を大きく上回る。ミサイルを格納するVLS(垂直発射装置)は128発分を備え、まや型より3割多い。トマホークや三菱重工業が開発中の12式対艦ミサイル改良型(射程1000キロ以上)は32年以降に搭載する。
中国やロシアなどが開発中の極超音速滑空兵器を迎撃できるよう日米共同開発が決まったGPI(滑空段階迎撃用誘導弾)も発射可能にする。「スウォーム」と呼ばれる無人機の群れによる攻撃に対処する高出力レーザーも備える。
1隻目は27年度、2隻目は28年度に配備し、日本海で常時、警戒監視に当たる。配備先は佐世保基地(長崎県)や舞鶴基地(京都府)などが有力視されている。