東京, 03月05日 /AJMEDIA/
岸田総理大臣は、北朝鮮に拉致された被害者の家族会と面会し「何としても自分自身の手で解決するとの思いを強く持ち、取り組んでいきたい」と述べ、日朝首脳会談の早期実現を図り、すべての被害者の帰国に全力を挙げる決意を伝えました。
家族会の代表を務める横田めぐみさんの弟の拓也さんや母親の早紀江さんらは4日、岸田総理大臣と面会し、先月まとめた新たな活動方針を手渡しました。
方針では、親の世代が存命のうちにすべての被害者の一括帰国が実現するなら、北朝鮮に対する日本独自の制裁措置を解除することに反対しないとして初めて制裁の解除に言及しました。
岸田総理大臣は「内容をしっかりと受け止め、何としても自分自身の手で拉致問題を解決するとの思いを強く持ちながら、一層力を込めて取り組んでいきたい」と述べました。
その上で「日朝間に存在する不信感を断ち切り、明るい未来を描くには、私自身が主体的に動かなければならない」と述べ日朝首脳会談の早期実現を図り、すべての被害者の帰国に全力を挙げる決意を伝えました。
拓也さんは「北朝鮮には明らかにこれまでと異なる兆しがあるが譲歩することなく、きぜんとした態度で向き合ってほしい」と求めました。
また早紀江さんは「私たちは46年間も行方不明になった子どもたちのために、全身全霊で活動してきた。岸田総理大臣の間に必ず動かしてほしい」と訴えました。
拉致被害者家族「怒りの心情 外交にいかして」
拉致被害者の家族は、岸田総理大臣と面会したあと記者団の取材に応じ、親世代の家族が存命のうちに再会を果たすため、要求の水準を下げることなく北朝鮮と向き合うよう求めたことを明らかにしました。
拉致被害者の家族会は、帰国を待つ家族の高齢化が一段と進んでいることから先月25日「親の世代の家族が存命のうちに全拉致被害者の一括帰国が実現するなら、わが国が人道支援を行うことと、わが国がかけている独自制裁を解除することに反対しない」と「制裁」の「解除」に初めて言及した新たな活動方針を決めました。
4日は、家族が岸田総理大臣と面会し、この方針について説明したあと、記者団の取材に応じました。
家族会代表で、横田めぐみさんの弟の拓也さんは「今回の方針の背景にある思いを岸田総理にしっかり伝え重く受け止めたという趣旨のコメントをいただきました。岸田総理には私たち家族の怒りの心情を北朝鮮との外交にいかしていただきたいし、その先の日朝首脳会談で両国が明るい未来を描けるよう歩みを進めてほしい」などと話しました。
また、母親の横田早紀江さんは「難しい国が相手ですが、今度こそ被害者を取り戻して日本で生活できるようにしてほしいです」と話していました。
田口八重子さんの長男の飯塚耕一郎さんは「北朝鮮の最近のアクションに一喜一憂することなく冷静に分析して対処していほしいと伝えました。また、このタイミングは私たちだけではなくて、かつて拉致問題解決を希望していた飯塚繁雄や横田滋、有本嘉代子も含めた、亡くなった私たちの家族も切望していたものなので必ず全拉致被害者即時一括帰国に向けて頑張っていただきたいと申し上げました」と話していました