坂本龍一さん「何か残したい」 最後の演奏、息子が監督―ベネチアで上映

東京, 9月9日, /AJMEDIA/

【ベネチア時事】3月に死去した音楽家、坂本龍一さんの「最後のコンサート」を記録したドキュメンタリー「Ryuichi Sakamoto|Opus」がイタリアのベネチア国際映画祭で公式上映された。ピアノに向かった坂本さんのこん身の演奏をモノクロ映像で撮影。息子でもある映像作家の空音央さん(32)が監督した。
坂本龍一さん死去、米でも悲しみ 「東西文化の融合」

 空さんは昨年初めごろ、がんで闘病中だった坂本さんから「十分にコンサートもできない体になっているので、映画という形で何か残したい」と提案されたという。
 映画「戦場のメリークリスマス」のテーマやYMO時代の「東風」など20曲を本人が選曲。一部は、亡くなる約3カ月前に「ソロコンサート」として配信されたが、空さんは「最初から映画として、絵と音の両方をしっかり撮るというコンセプトだった」と明かす。
 「明確に記録したいと思ったのは身体性。演奏者の体とピアノがどういう風に調和して音楽が出てくるのか」。カメラは時に、音を紡ぐ指先にぐっと近寄り、グランドピアノの中で上下するハンマーの動きも映し出す。
 演奏以外の様子はあえて排し、コンサートの場に立ち会っているかのような映像作りに徹した。
 同時に、演奏前に「ちょっときつい」とつぶやく様子なども捉え、最後は、坂本さん不在のスタジオで自動ピアノが曲を奏でるシーンで幕を閉じる。映画を見た坂本さんは「すごくいい」と喜んでくれたという。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts