東京, 4月15日, /AJMEDIA/
カジノを含む統合型リゾート(IR)について、政府は国内で初めて、大阪府と大阪市の申請した整備計画を約1年に及ぶ審査の末に認定した。府市は地域経済の活性化に期待を寄せるが、国は建設予定地の地盤沈下やギャンブル依存症の誘発など懸念事項も指摘。地元では反対運動も根強く、IRへの不安は解消しきれていない。
府市は当初、IR計画認定は昨秋と想定していた。しかし、地盤問題などを理由に国の審査は長期化。建設予定地の人工島「夢洲」には液状化リスクなどの問題があり、大阪市が約790億円もの公費を投じて土壌改良することを決めたが、対策が十分なのか不透明感が残る。
IRに反対する市民団体は「埋め立て地なので地盤沈下も必ず起きる。市は今後も際限なく公費負担を迫られる」と猛批判。IRの賛否を問う住民投票を求める運動を展開し、19万人以上の有効署名を集めた。今月の府知事と大阪市長の「ダブル選」でもIRの是非は主要争点になった。
結局住民投票は実現せず、ダブル選でもIR反対派の候補は敗北。それでも市民団体代表の西沢信善・神戸大名誉教授は「(地盤など)専門的な問題が多く、住民訴訟など司法の場で訴えていきたい」と語る。
大阪IRのカジノには、ギャンブルで使われる電子ゲーム機が約6400台置かれる予定で、諸外国の施設より多い。民間支援団体「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表は「カードゲームはルールが分からないと参加できない一方、スロットマシンなど電子ゲーム機は簡単な分、依存症になりやすい」と指摘する。
海外では一定時間ごとに休憩のためゲーム機を停止したり、賭け金に上限を設けたりする対策が奏功しているカジノもあるという。田中代表は「売り上げが減る可能性もあり、カジノ事業者はこうした対策をためらうのでは」と話している。