国枝、栄光のキャリアに花 フェデラーの助言胸に「完結」―車いすテニス

東京, 7月12日, /AJMEDIA/

レジェンドが新たな偉業を成し遂げた。テニスのウィンブルドン選手権車いす部門男子シングルスで10日、国枝慎吾(38)=ユニクロ=が初優勝を飾った。車いす男子初の四大大会全制覇で、パラリンピックの金メダルも合わせた「生涯ゴールデンスラム」を達成。輝かしいキャリアにまた一つ、花が添えられた。
 国枝が四大大会で唯一、手にしていなかったウィンブルドンのタイトル。アルフィー・ヒューエット(英国)との決勝当日の朝に考えたことは「取るならこのタイミングしかない。ラストチャンスだ」。その瞬間、東京パラリンピック決勝と同じような重圧に襲われたという。「目はおびえていないか」。鏡と向き合って確認した。
 白熱したブレークの応酬。第1セットを落とし、第2セットは4―5。「もう駄目かも」「いや、まだいける」。常に葛藤していた。最終セットも2―5と追い込まれたが、「最大の武器」と誇る強靱(きょうじん)な精神力で乗り越えた。
 試合中、ウィンブルドン男子シングルスで史上最多8度の優勝を誇るロジャー・フェデラー(スイス)の言葉を思い出していた。昨年、芝コートでの極意を尋ねると、「ミスをしても後悔せず、次もアグレッシブに攻め続けることが重要」。その助言通りに強烈なショットを打ち続け、3時間20分の激闘を制した。
 「この日勝てれば、この後の大会は全部負けてもいい」。神頼みするほど懸けていた。悲願を成就させ、「本当にこれで完結した。いつでもすっきりやめられる」との思いも浮かんだという。第一人者が優勝トロフィーを掲げると、「聖地」の観客から「シンゴ!」と歓声が湧いた。

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