東京, 7月08日, /AJMEDIA/
安倍晋三元首相銃撃事件から1年。組織に属さない単独犯「ローンオフェンダー」によるテロ対策は模索が続く。警察庁は8月から、複数の府県警察で危険度の高い人物の情報を公安警察に集約する対応を試行的に実施し、来年度中に実効性のある体制を構築する方針だ。
「強い犯罪者」の襲撃、防ぐには リスク管理やAI活用がカギ
試行では、刑事、生活安全、地域などの部門が把握する危険性のある人物の情報を公安警察に集め、分析した上で対策を講じる。これまでは警察窓口への相談や交番単位で、世間に強い不満を持つ個人を把握することがあったが、部門間での共有ができていなかった。
警察庁は銃撃事件を受けて警護要則を改正。しかし、1年もたたずに岸田文雄首相の演説会場で襲撃事件が発生した。その後、同庁は演説主催者に屋内開催や自主警備強化を求めたものの、対応は政治家の判断に委ねられている。同庁は「守り」を固めるだけでなく、率先して襲撃者の動向を把握する必要があると判断した。
警備部門の公安・外事警察は、過激派組織や国際テロ組織の動向を日々追っているが、同じ手法で単独犯による襲撃の端緒を把握するのは人員的に限界があるのが実情だ。実際、安倍氏銃撃事件で起訴された山上徹也被告(42)や、岸田首相襲撃事件で逮捕された木村隆二容疑者(24)=鑑定留置中=の動向を警備部門は把握できていなかった。
事件前、山上被告はツイッターで世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みなどを繰り返し投稿。木村容疑者は選挙制度に不満を持ち訴訟を起こしていた。今後は、こうした公開情報にも目を向けて情報収集する。