南北、17年に逆戻り 軍事対立激化、独自制裁再開

東京, 10月15日, /AJMEDIA/

韓国政府は14日、戦術核使用を想定した最近の北朝鮮のミサイル発射を受け、2017年12月以来約5年ぶりの独自制裁に踏み切った。任期末まで南北の和解を模索し「終戦宣言」にこだわった文在寅前政権から一変、尹錫悦政権は抑止力強化と制裁で対抗。北朝鮮も境界線付近での敵対行為禁止などを明記した18年の南北軍事合意を露骨に破り、南北関係は極度に緊張が高まった17年に逆戻りした形だ。
 韓国は15年から17年にかけ、5回にわたり北朝鮮の計109人、89団体を制裁対象に指定。ただ、その後は南北、米朝首脳会談の実現で情勢が対話ムードに転じたこともあり、追加指定は行われていなかった。
 今回は核・ミサイル開発や制裁回避にかかわった15人、16団体を追加指定。韓国外務省関係者は「これで終わりではない」と追加制裁を検討していることを明らかにした。
 一方、北朝鮮は、13日深夜から14日未明にかけ、南北軍事合意に基づき境界線付近に設定された飛行禁止区域近くまで戦闘機約10機を南下させ、韓国軍機が緊急発進。さらに、短距離弾道ミサイル発射に加え、黄海に約130発、日本海に約40発の砲撃訓練を実施した。14日午後にも日本海と黄海に相次いで砲撃。同じ日にこれだけの挑発行為を重ねるのは異例だ。
 いずれの訓練も砲弾は合意で禁じられた海域に着弾し、韓国軍は違反を指摘し中止を求める通知文を北朝鮮側に送った。北朝鮮の合意違反は初めてではないが、今回は特に大規模。韓国では合意を破棄すべきだという声が強まっており、大統領府関係者は「維持されるか破棄されるかは北朝鮮の態度次第だ」と語った。
 北朝鮮は、今は核ミサイル能力を高める時と判断しているもようだ。北朝鮮軍は14日未明、「前線地域で南朝鮮(韓国)軍が10時間にわたり行った砲撃への対応」と強調した。実際には米軍による訓練だったが、北朝鮮が韓国側の対応を口実にしている側面がある。韓国軍は17~28日に定例の野外機動訓練「護国訓練」を実施する予定で、北朝鮮が対抗して緊張をさらにエスカレートさせる可能性がある。

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