東京, 9月9日, /AJMEDIA/
【ニューデリー時事】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンの暫定政権には、発足当初から難題が山積している。タリバン自体の内部対立の解消や、融和を含めた国内の反対勢力対策、大きな財源となる国際支援の再開に向けた対外交渉などで、実務能力を問われることになる。
首都カブール制圧後、閣僚について、タリバン幹部らは報道各社に「数日中に発表する」と繰り返した。しかし、実際の発表は制圧の約3週間後だった。
背景には、タリバンの内部対立があったとみられている。タリバンに影響力を持つ隣国パキスタンの政府当局者は「タリバン内で若手幹部を中心に、パキスタンと関係の深い幹部の要職起用に反発する動きがあった」と説明した。
また、タリバン内部には穏健派と強硬派が混在している。タリバンの首都制圧後も抵抗を続けた北東部パンジシール州の反タリバン勢力「アフガン国民抵抗戦線」(NRFA)に対し、交渉による融和を望む派閥と、武力制圧を主張する派閥の対立もあったという。
タリバンはパンジシール州の武力での「制圧」を宣言したものの、各地では反タリバンデモも相次いでいる。今後も反対勢力に強硬な姿勢で臨むか否かに関し、タリバン内部で亀裂が深まる恐れがある。
もしタリバンによる国民への締め付けが続けば、国際社会のタリバンへの視線はさらに厳しいものとなる。既に欧米諸国を中心に、財政支援を停止する動きが相次いでいる。
ロイター通信は、駐アフガン米大使経験者の話として「(崩壊した民主政権の)予算の7~8割は国際支援で賄われていた」と伝えており、タリバン政権も支援なしで国家運営に当たるのは困難とみられる。タリバンの最高指導者アクンザダ師は7日の声明で、シャリア(イスラム法)に基づく統治の実現を強調したものの、実際は国内外の現実と折り合いを付けた政権運営を迫られることになりそうだ。