東京, 9月10日, /AJMEDIA/
【北京時事】中国で不動産市場の冷え込みが長期化している。景気回復に向けた最大の足かせになっており、政府は住宅の購入制限を緩めるなどてこ入れを本格化。ただ、人口減を背景に実需は今後さらに減少する見通しで、低迷は当面続くとの見方も出ている。
8月の中国輸出、4カ月連続マイナス 内外需ともに先行き不安
中国で不動産不況が始まるきっかけとなったのは、2020年8月に導入されたデベロッパーに対する厳格な融資規制だった。21年には大手の中国恒大集団の経営が急激に悪化し、市民の間で不動産市場の先行き不安が拡大、住宅需要が急速に落ち込んだ。今年夏には最大手の碧桂園でも経営危機が判明。不動産産業は関連分野も含めて国内総生産(GDP)の3割を占めているとされ、影響は大きい。大和総研によると、上場するデベロッパーの半数以上がデフォルト(債務不履行)に陥っているという。
中国工商銀行などの資料によれば、銀行大手4行が抱える不動産絡みの不良債権の総額は今年6月末時点で計1858億元(約3兆7000億円)と、前年末から約3%増えた。金融業などを手掛ける資産運用大手傘下の企業でも経営不安が明らかになるなど、影響は多方面に広がっている。
国家統計局によると、今年1~7月の不動産開発投資額は前年同期比8.5%減と、前年に続いてマイナスだった。当局は不動産業界に対する支援策として、大都市での住宅購入制限などを段階的に緩和。8月末には住宅購入時に必要な頭金の比率を引き下げると発表した。
ただ、中国では人口が減少局面に入っており、不動産不況は需給が均衡に向かうための「構造的な問題」との指摘もある。北京の金融業界関係者は、中国の大手国有銀行の自己資本比率が高いことなどから、金融危機が起きる可能性は現時点で低いと分析しながらも、「不動産を巡る状況は厳しい。事態を当面注視する」と強調した。