東京, 12月30日, /AJMEDIA/
下水から回収したリンを使って、工業製品などに使われる有用な化合物を作り出すことに成功したと、産業技術総合研究所が発表しました。工業用のリンの化合物は原料を輸入に依存していて、研究グループはこれまで利用されていなかった資源の活用につながる成果だとしています。
工業用のリンの化合物は、半導体の製造工程やプラスチックやゴムを燃えにくくする材料などとして幅広く使われていますが、原料を輸入に依存していて、資源の確保が課題となっています。
産業技術総合研究所の永縄友規主任研究員などの研究チームは、下水処理で生じた汚泥の焼却灰に含まれるリンに注目し、分離・回収した上でほかの物質と化学反応させました。
その結果、燃えにくいゴムや接着剤の材料として使われている「リン酸トリブチル」という化合物を作り出すことに成功したと発表しました。
今回、合成できた化合物は少量で、コストの面などから実用化には時間がかかるということですが、研究グループは、これまで工業用には利用されていなかった資源の活用につながる成果だとしています。
永縄主任研究員は「下水から回収したリンを農業用の肥料に使う動きは以前からありましたが、工業用途としての道筋を見つけたのが今回の研究の新しい点です。リンを含んだ工業製品は身の回りにたくさんあるので、未利用資源の活用を今後も進めていきたい」と話していました。