一部原告を被爆者と認定 区域外でも「黒い雨」―体験者訴訟・長崎地裁

東京, 9月9日 /AJMEDIA/

 国が定める被爆援護対象区域の外で長崎原爆に遭ったため被爆者と認定されていない「被爆体験者」ら44人(うち4人死亡)が、長崎県と長崎市に被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟の判決が9日、長崎地裁であった。松永晋介裁判長は「区域外でも(放射性物質を含む)『黒い雨』が降ったと認められる地域がある」とし、該当する地域にいた原告15人への手帳交付を命じた。

 広島の援護区域外にいた当時の住民については、広島高裁が2021年、「黒い雨」を浴びた人を被爆者と認定し、判決が確定。今回、長崎でも区域外での被爆者認定がされたことで、救済に向けた議論が進みそうだ。

 判決で松永裁判長は、一定の科学的根拠を踏まえた上で、原告に放射線による健康被害の可能性があったかを判断すべきだと指摘。長崎県や長崎市などが過去に実施した調査で、区域外でも旧矢上村などの「東長崎地区」では、原爆投下から間もない時期に降雨があったとの証言があり、同地区は「黒い雨」が降ったことで知られる区域内の地域とも近接していることから、「放射性物質が降下した相当程度の蓋然(がいぜん)性が認められる」とした。

 その上で、黒い雨訴訟の広島高裁判決後、国は黒い雨に遭ったことが否定できず、造血機能障害などの疾病にある者を被爆者として扱っていると指摘。東長崎地区にいた原告については、広島の黒い雨に遭った者と同様の状況があり、手帳を交付しないのは「社会通念に照らし著しく合理性を欠く」と結論付けた。

 東長崎地区以外の原告については、放射性物質が降下した事実は認められないとし、請求を認めなかった。

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