ローマ教皇と交流 昭和天皇の親書やキリシタンの書簡見つかる

東京, 11月12日, /AJMEDIA/

ローマ教皇庁があるバチカンと日本との交流に関する資料を調査している専門家のグループが都内でシンポジウムを開き、ローマ教皇と昭和天皇が交わした親書が新たに確認されたことなどを報告しました。

国内のキリスト教史の研究者などのグループは、バチカンと日本との交流に関する資料の調査や研究を3年前から行っていて、12日、上智大学で、これまでの研究成果を報告しました。

国際政治史が専門の日本大学の松本佐保教授は、1952年にローマ教皇のピウス12世と昭和天皇が交わした複数の親書がバチカンで新たに確認されたことを発表しました。

このうち、ピウス12世が昭和天皇に宛てた親書では、この年の4月にサンフランシスコ平和条約が発効して日本が主権を回復したことなどを祝うことばが記されています。

これに対する昭和天皇の親書には「祝意に対し、わが皇室並びに日本国民の深厚な感謝の意を表します」などと記されています。
松本教授は、昭和天皇が皇太子時代にローマ教皇と面会するなど、戦前からバチカンと交流があったことに言及したうえで、「日本が戦後の世界で孤立化する危険性もある中、国際社会への復帰にあたり世界に大きな影響力のあるバチカンとの関係を重視していたのではないか」と指摘しました。

そのうえで「バチカンも反共産主義の立場から日本との関係を重視していたとみられ、両者のやり取りが実現した意義は大きい」と話していました。
ローマ教皇に送ったキリシタンの「奉答書」を確認
シンポジウムの中で、上智大学の川村信三教授は、江戸幕府によってキリスト教の信仰が禁じられる中、各地で隠れて信仰を続けていた信徒たちがローマ教皇にひそかに送った「奉答書」と呼ばれる書簡が新たに見つかったことを報告しました。

「奉答書」は、江戸幕府によってキリスト教が禁じられる中、日本各地で隠れて信仰を続けていた信徒たちがひそかにローマ教皇に送った書簡で、これまでの研究でバチカンに保管されていることが明らかになっています。

新たに見つかったのは、東北の信徒が送った「奉答書」で、ことし9月、川村教授がイタリア・フィレンツェの図書館で確認しました。

この「奉答書」には、東北でのキリスト教への弾圧や布教の現状などが記されていたということで、同じ内容の「奉答書」はバチカンでも保管されていることから、複数送られていた可能性があるとしています。

川村教授は「同じ内容の『奉答書』が複数送られていたのは、それだけ内容が重大だったことを示している。日本でキリスト教への弾圧が強まる中、ローマ教皇に何としてでも現状を伝えたいという思いがあったのではないか」と話していました。

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