東京, 11月15日, /AJMEDIA/
ペルー中部の太平洋岸チャンカイに中国資本主導で建設された巨大港湾が完成し、14日に開港式典が開かれた。南米とアジアとの海上輸送が直接結ばれ、中国の巨大経済圏「一帯一路」構想が進展。中南米地域を勢力圏と見なす米国は軍事利用を警戒しており、米中の覇権争いが激しさを増しそうだ。
港湾は首都リマの北約80キロにある。中国海運最大手の中国遠洋海運集団が権益の6割を保有。ペルーだけでなく、中国との貿易関係を強める周辺国の利用も想定され、「南米のハブ港」の機能が期待されている。
式典は、ペルーで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に先立ち行われた。リマからリモートで出席した中国の習近平国家主席は「(港が)ペルーや中南米、カリブ海諸国の繁栄と幸福への道」になると期待を表明。同席したペルーのボルアルテ大統領も「ペルーにとって歴史的な瞬間だ。世界クラスの物流、技術、産業の中心として国が強化される」と訴えた。
総事業費は約34億ドル(約5300億円)。今回は第1段階として13億ドルを投じ、約140ヘクタールの敷地に埠頭(ふとう)などを整備した。港の水深は17.8メートルと世界最大級のコンテナ船も寄港が可能だ。ペルー太平洋岸とアジアを結ぶ海上輸送は平均25日となり、従前に比べ約10日間短縮される。
ペルーや隣国チリは銅の主要産出国。周辺ではリチウムも埋蔵量が豊富で、電気自動車(EV)に欠かせないこうした戦略物資の円滑な輸入を中国は狙う。
一方、中南米を担当する米南方軍のリチャードソン前司令官は7日の退任前に一部メディアに、中国海軍も港を利用する恐れがあると警告。「中南米だけでなく他の場所でも繰り広げられた戦略だ」と述べ、米国や同盟国に対して中国の影響力拡大に対応するよう促した。