東京, 3月10日, /AJMEDIA/
世界で初めて遺伝子操作で拒絶反応が起こりにくくしたブタの心臓の移植を受けたアメリカの男性が、移植からおよそ2か月後に死亡しました。
これはアメリカのメリーランド大学医学部の研究チームが9日、発表しました。
大学によりますと、男性は不整脈で入院していましたが、症状が重く、通常の心臓移植の対象にならず、ほかの治療法でも回復が見込めない状態だったため、ことし1月に世界で初めて遺伝子操作で拒絶反応が起こりにくくしたブタの心臓の移植を受けました。
移植された心臓は、その後数週間、順調に機能し、拒絶反応の兆候も見られませんでしたが、男性は最近になって体調が悪化し、8日、亡くなったということです。
男性は57歳でした。
移植を行った研究チームは今後、男性が死亡した原因を詳しく調べることにしています。
遺伝子操作した動物の臓器をヒトに移植する技術は、将来、移植用の臓器の確保につながるとして期待され、各国で研究が進んでいます。
研究チームは「人体の中でブタの心臓が免疫を抑制された状態で機能することについて貴重な知見を得ることができた。男性の貢献に感謝する」としています。