東京, 12月14日, /AJMEDIA/
太平洋戦争の混乱でフィリピンに取り残されて、いわゆる残留日本人となった80代の男女2人が、父親の親族と対面するため、初めて日本を訪ねることになり、「父の生まれ故郷を見に行きたい」と祖国への思いを語りました。
親族と対面するため、14日から沖縄県を訪れるのは、サムエル・アカヒチさん、81歳とロサ・カナシロさん、80歳の2人です。
フィリピンには戦前、3万人とも言われる日本人が移民として渡り、現地の人と結婚した人もいましたが、太平洋戦争の混乱の中で子どもらが取り残され、いわゆる残留日本人となりました。
2人も沖縄県出身の父親が殺されたり、徴兵後に行方がわからなくなったりしたということで、戦後は日本人の子どもとして差別を受け、日本国籍もフィリピン国籍もない、無国籍の状態で厳しい生活を強いられてきました。
こうした中、残留日本人の日本国籍の取得を支援するNPO団体「フィリピン日系人リーガルサポートセンター」が沖縄県で2人の父親の親族を突き止め、帰国が実現することになりました。
初めて日本を訪れるカナシロさんは「父の生まれ故郷を見に行きたい」と話し、アカヒチさんは「父の親戚に会えることがうれしい」と話していました。
NPO団体は今回の訪問を2人の日本国籍の取得につなげたいとしています。
日本外務省の調査によりますと、フィリピンではいまも少なくとも151人の残留日本人が無国籍の状態におかれたままとなっています。