東京, 4月26日, /AJMEDIA/
「職務を完遂させよう」。2024年米大統領選への再選出馬を25日表明したジョー・バイデン大統領(80)は、支持率低迷などで苦しみながらも、ウクライナ戦争や中国をにらんだ同盟強化や、経済対策による雇用創出など一定の成果を上げてきた。その巧みな政権運営の背景には、愛する家族を事故や病気で失うなど悲劇や挫折の克服がある。
「ラストベルト(さび付いた工業地帯)」の一角、東部ペンシルベニア州のスクラントン。現在も残るバイデン氏の生家はこぢんまりしている。父親の事業失敗で生活が苦しかった経験から、自らを「ミドルクラス・ジョー(中産階級のジョー)」と呼ぶ。
10歳で引っ越したデラウェア州が、その後の地盤となる。1970年に同州の郡議会議員。72年の連邦上院選に出馬し、29歳の若さで共和党重鎮の現職を破った。
しかしその1カ月後、妻ネイリアさん=当時(30)=が運転する車に大型トレーラーが衝突。1歳半の娘ナオミさんと共に帰らぬ人となった。15年には、将来を嘱望された長男ボー氏=当時(46)=を脳腫瘍で亡くした。
親しい友人で同じデラウェア州選出のクーンズ上院議員は、度重なる喪失が政治家バイデン氏を形づくったとして「彼は相手の喜びや悲しみに心から共感できる」と語る。上院議員としては法務、外交畑を歩んだ。オバマ元大統領がバイデン氏を副大統領に起用したのも、豊富な外交経験が理由だ。
3度目の挑戦となる20年大統領選でトランプ前大統領を打ち破ったが、民主党予備選では撤退寸前とみられるほど苦しんだ。大敗が予想されていた22年の中間選挙でも議席減を最小限にとどめ、「不死身」さを発揮した。
2期目を目指すバイデン氏の最大の課題は、再選すれば任期終了時は86歳という「超高齢」になることだ。米メディアの世論調査によれば、民主党支持者でさえも多くが同氏の出馬を望んでいない。バイデン氏の前には一段と厳しい試練が待っている。