東京, 02月28日 /AJMEDIA/
サッカー女子の日本代表「なでしこジャパン」が28日夜、国立競技場で行われるパリオリンピックのアジア最終予選の第2戦で北朝鮮と対戦します。ホームアンドアウェー方式の第1戦は引き分け、勝利がパリへの切符を獲得する条件となっています。
サッカー女子のパリオリンピックアジア最終予選はホームアンドアウェー方式で争われ、今月24日の第1戦は当初、北朝鮮の首都、ピョンヤンで行われる予定でした。
しかし、アジアサッカー連盟が北朝鮮とほかの国を結ぶ定期便が運航されていないことなどを理由に中立地での開催を提案し、試合3日前にサウジアラビアのジッダでの開催が決まり、0対0で引き分けました。
第2戦は、28日午後6時半すぎから国立競技場で行われ、日本は勝てばパリオリンピックの出場権を獲得します。
異例の事態となった今回の最終予選で、選手たちは長距離の移動や短期間で寒暖差への対応を求められるなど厳しい環境に立たされ、日本は第1戦で本来の動きを欠いていました。
中3日で行われる第2戦に向けては、選手たちのコンディションの回復もポイントの1つで、ホームの応援を力に本来のスピードある攻撃などを復活させることができるかが鍵となります。
第1戦は厳しい戦いに
日本と北朝鮮は、世界ランキングで肉薄しています。日本の8位に対して北朝鮮は9位。その数字が示すとおり、今月24日の第1戦は0対0の引き分けとなりました。
しかし、厳しい戦いを強いられたのは日本でした。当初、予定されていた北朝鮮での開催にアジアサッカー連盟が難色を示し試合3日前になってようやくサウジアラビアでの開催が決まるという異例の事態になったとはいえ、本来のなでしこの姿はピッチにありませんでした。
チーム関係者によりますと、第1戦での日本のシュートはわずか3本にとどまりました。日中の気温が30度を超える厳しい環境の中での試合に慎重に戦わざるをえない部分もあったかと思われますが、苦戦の一番の要因は相手の戦い方の変化に対応できなかったことです。
それまで国際舞台では前線からアグレッシブに仕掛けてくることが多かった北朝鮮が、ディフェンダーの人数を5人に増やす守備を重視した戦い方を選択、想定していなかった展開に日本は戸惑っていました。
引いて守る相手に前線の選手が引っ張り出される一方で、ボールを奪われた後のロングパスでのカウンター攻撃を警戒するあまり、選手どうしの距離が間延びし、選手が孤立するケースも多く見られました。実際に数的不利の状況をつくられ、さあこれからという時にボールを奪われてリズムを崩す場面も多くなっていました。
勝負が決まる第2戦に向けてはこうした反省点をいかして、去年のワールドカップでヨーロッパの強豪を相手に見せた連動を取り戻すことが重要になります。
不動の右サイドバック、清水梨紗選手は、公式練習のあと攻撃のキーマンに前線の田中美南選手をあげ、同じフォワードの選手を近づけるような動きをすることで孤立させずに戦いたいと話しました。
また、中盤の守備的なポジションでプレーするキャプテンの熊谷紗希選手は、相手の両サイドを引っ張り出すことが守備を崩すうえで大事になると話しました。
勝負の鍵となる“対応力”
第2戦の鍵になるのは、想定していない展開になったときでも柔軟に対応する力です。
中3日での試合で、長距離の移動や寒暖差への順応など環境面の変化への対応も求められます。しかし、短期間で対応する力は日本が去年のワールドカップの後に磨いてきたことの1つです。
去年11月からのブラジル遠征ではこのアジア最終予選の戦いを見据えて、同じ相手と中2日で試合行いました。
その時は1戦目に4失点して敗れたブラジルに、2戦目では人数をかけた守りの徹底や相手のプレッシャーをポジショニングで回避する工夫などをして2対0で完勝しました。
第2戦は、90分で勝敗が決まらなければ延長戦、ペナルティーキック戦で決着をつけることになります。
決戦の舞台の国立競技場は、女子の日本代表が2004年に同じ北朝鮮に勝ってオリンピック出場を決めた縁起のいい舞台でもあります。
選手たちは「勝つか負けるかが日本の女子サッカーの未来を左右する」と決意を示しました。その決意をピッチで表現しなでしこの本来の形を取り戻すことで勝利への道筋が見えてきます。