東京, 02月28日 /AJMEDIA/
ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる28日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
フランス政府 大統領発言の火消しに追われる
フランスのマクロン大統領は26日の記者会見で、欧米側がウクライナに地上部隊を派遣する可能性について「合意はない」としたうえで、「いかなることも排除されるべきではない」と発言しました。これに対しヨーロッパ各国の首脳などからは、「兵士を派遣することはない」などとマクロン大統領の発言を否定する発言が相次いでいます。
このうち、NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は「ウクライナにNATOの戦闘部隊を派遣する計画はない」と述べました。また、ポーランドのトゥスク首相も「兵士を送る計画はない」と述べました。
さらに、ヨーロッパ最大の支援国、ドイツのショルツ首相も「地上部隊や兵士を派遣することはない」と述べたほか、G7=主要7か国の議長国イタリアの首相府は27日、「ウクライナへの支援は地上部隊の派遣を伴うものではない」とする声明を発表しました。
一方、フランスのセジュルネ外相は27日、マクロン大統領の発言の真意について問われ、地雷除去などの支援の必要性を強調した上で「こうした活動を行うには、戦闘にならない形でのウクライナ領内での活動を検討する必要がある」と述べ、戦闘部隊の派遣の可能性は否定しマクロン大統領の発言の火消しに追われました。
米報道官「ウクライナで戦うために部隊を派遣しない」
アメリカ・ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議のワトソン報道官は27日、声明で「バイデン大統領は、アメリカはウクライナで戦うために部隊を派遣しないと明確にしている」と強調しました。
そのうえで「ウクライナの勝利への道は、アメリカ議会下院がウクライナ軍が自衛のために必要な武器と砲弾を手に入れ、ロシアの侵攻に対抗して戦い続けるための予算案を通すことだ」として、野党・共和党が多数派を占める下院でいち早くウクライナへの追加支援のための緊急予算案の審議を進め、成立させる必要があるという認識を示しました。
米財務長官 凍結資産の活用「必要かつ緊急」
アメリカのイエレン財務長官はG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議に出席するためブラジルのサンパウロを訪れ27日、現地で記者会見を開きました。
この中でイエレン長官は欧米や日本などがロシアへの経済制裁としてロシア中央銀行が保有するおよそ2850億ドル日本円で42兆円余りにのぼる資産を凍結したことについて、資産を没収したうえで、ウクライナへの軍事支援や長期的な復興に向けて活用することが「必要かつ緊急なことだ」と強調しました。
また、凍結した資産の活用は財産権を侵害するため国際法に抵触するという指摘が出ていることを踏まえ、慎重に行動すべきとしながらも、国際法上だけでなく経済面や道義的な観点から活用には根拠があるという考えを示しました。
さらにウクライナへの軍事支援をめぐって、アメリカで追加支援に必要な予算案の議会での審議が野党・共和党の反対で暗礁に乗り上げていることについて、イエレン長官はウクライナへの支援継続やアメリカの国家安全保障のために議会は直ちに行動すべきだと改めて要請しました。
ロシア野党指導者の殺害から9年 反政権の動き警戒か
ロシアでは2015年に首都モスクワで、プーチン政権に批判的だった野党指導者のネムツォフ氏が、銃で撃たれて殺害され、実行犯が殺人などの罪で有罪判決を受けましたが、誰の指示だったのかなどはわかっていません。事件から9年となった27日、現場となった橋では、モスクワに駐在する欧米の大使や市民が訪れて花を手向け、ネムツォフ氏の死を悼みました。
ロシアでは来月の大統領選挙でネムツォフ氏の側近だったナデジディン元下院議員がウクライナへの侵攻に反対し、プーチン大統領に対抗する候補として注目されましたが選挙管理委員会は立候補を認めませんでした。
また今月、刑務所に収監されていた反体制派の指導者ナワリヌイ氏の死亡が発表され支援団体は告別式を開きたいとしていましたが、27日SNSで「開催場所を探しているが、ナワリヌイの名前を出すと拒否される。われわれへの協力は禁じられているとも言われた」と明らかにしました。
ナワリヌイ氏の死亡を巡っては追悼の動きや政権への抗議デモなども起きていますが、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「支持者の動きは非常に悪質だ」などと非難していて、当局側は反政権の動きが広がることに警戒を強めているとみられます。