東京, 8月3日, /AJMEDIA/
日野自動車によるデータ改ざんは、約20年にわたって続けられていた。三菱自動車の燃費データ不正が発覚した2016年、国土交通省が自動車メーカーに要請した一斉調査に対しては「虚偽報告」で隠蔽(いんぺい)。不正はただされず、監督官庁ばかりか顧客をも裏切った。小木曽聡社長は2日の記者会見で「襟を正す機会に不正を重ねてしまった」と悔やんだが、今や出荷可能なのは小型トラック1車種のみ。その代償は重い。
特別調査委員会が同日発表した報告書は、上意下達で「上にものを言えない」企業風土が不正の温床になったと断じた。調査では、元役員が目標達成に「強いプレッシャー」をかけて開発部署が追い込まれた実態も明らかになった。法令順守部門などによるチェック機能の欠如も指摘された。小木曽社長は「00年ごろから規模や量を重視し、現場に余力がなくなった」と釈明に追われた。
日野自は01年、トヨタ自動車の子会社になった。榊原一夫調査委員長は「トヨタが親会社になったことは直接不正行為には結び付かない」としつつも、親会社がトヨタだという安心感や危機感の薄さが間接的に影響した可能性に言及した。
小木曽社長は「トヨタとも連携を図り、学ぶべきところは学びながら進める」と再発防止を誓った。しかし、子会社化後に就任した6人の歴代社長のうち、5人はトヨタ出身者を起用しながらも不正は続いた。その温床となった顧客軽視の企業体質を改めるのは容易ではない。