「米国の裏庭」に新ルート 中国主導の巨大港開港―ペルー

東京, 11月16日, /AJMEDIA/

ペルー中部の太平洋岸チャンカイに中国資本主導で建設された巨大港湾の開港式典が14日、開かれた。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、ペルーを訪問中の習近平・中国国家主席は式典にリモート出席し、「新時代の中国と中南米を結ぶルートの誕生」を宣言。「米国の裏庭」とも称される中南米で中国の影響力が浸透していることを印象付けた。

 チャンカイ港は、習政権肝煎りの巨大経済圏構想「一帯一路」の南米における最大規模の事業。開港により南米・中国間の航路が従来の35日から25日程度に短縮されるほか、ペルーの国内総生産(GDP)の1.8%に相当する年間45億ドル(約7000億円)の経済効果をもたらすとされる。米国は中国が港を軍事利用することへの懸念を強めているが、中国側は「偏見に基づく中傷」(官製メディア)だとして取り合っていない。

 中南米は伝統的に米国の影響力が強い地域だが、近年は中国が巨大な経済力をてこに存在感を拡大。南米一の経済大国ブラジルをはじめとする複数の国が中国を最大の貿易相手国とし、中南米の22カ国が一帯一路に参加している。

 中南米は他の地域と比べ、台湾と外交関係を持つ国が多く、習政権が「核心的利益の中の核心」と位置付ける台湾問題で重要な意味を持つ。中南米に強い関心を示さなかった1期目のトランプ米政権が発足した2017年以降、習政権は台湾との断交を迫る動きを加速。海上交通の要衝であるパナマを皮切りにニカラグアやホンジュラスなどを切り崩し、国交樹立に成功した。

 米欧主導の国際秩序の変革を目指す習政権は、新興・途上国との連携を重視している。トランプ次期大統領が正式に就任する来年1月以降、習政権は中南米への接近を一段と強める可能性がある。

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