東京, 4月17日, /AJMEDIA/
岸田文雄首相の和歌山市の遊説先で起きた爆発事件で、無職木村隆二容疑者(24)を取り押さえた漁師の男性(54)が16日、同市内で取材に応じた。爆発物が投げ込まれたのを見て、「とっさに押さえに行った。無我夢中で飛び掛かった」と当時の緊迫した状況を振り返った。
男性は岸田首相を一目見ようと、15日朝から現場となった雑賀崎漁港にいた。演説が始まる直前、左前方にいた木村容疑者が黒っぽい物を投げ込んだ姿を目撃し、「あれ」と不審に思った。さらに手元で何かをする動きに気付き、とっさにヘッドロックのようにして同容疑者の頭部を押さえ込んだ。同容疑者は抵抗せず、言葉も発しなかったという。
程なくして、集まってきた警察官らが木村容疑者を拘束したため、男性は取り押さえるのをやめた。その後、背後で「ドーン」と爆発音がした。「万が一(取り押さえていた時に)爆発していたら、けがなり命が危ないことになっていたのでは」と語った。
男性は小学生の時、柔道の経験があった。安倍晋三元首相銃撃事件にも触れ、「漁師仲間でそういうことがなければいいのになと冗談で言っていたら、こういうことがあって怖い思いはある」と述べた。岸田首相からは15日夕、電話があり「きょうのことは本当にありがとうございました」と謝意を伝えられたという。
また、男性と共に木村容疑者を押さえ込んだ漁師の寺井政見さん(67)も取材に応じ、「瞬間的に体が動いた」と話した。取り押さえた時に地面に落ちた銀色の筒状の物を拾おうとしたところ、警察官から「そこに置いておいて」と指示を受けたという。
寺井さんは危険と隣り合わせである漁師について、「船の底が破れると沈むような仕事をしている。だからこそ近くにいる人が助けに行くというしきたりがある」と語った。