東京, 2月5日, /AJMEDIA/
育児雑誌の先駆けとして知られ、70年以上の歴史がある月刊誌「母の友」が今月号をもって休刊となるのにあわせ、都内の書店で催しが開かれました。
福音館書店の月刊誌「母の友」は、1953年に創刊され、子育てや暮らしの情報のほかに童話も掲載され、「ぐりとぐら」などの人気絵本も生まれましたが、3日に発売の3月号をもって休刊となります。
これにあわせ4日、都内の書店では伊藤康編集長と、雑誌で企画を担当する歌人の東直子さんによる対談の催しが開かれました。
伊藤編集長は、創刊の経緯について「戦争を経験して兄弟を亡くした初代の編集長が『生きることを考える雑誌を作りたい』と考えた」と明かしました。
東さんは、子どもたちから出た何気ないことばを家族から募集する「こどものひろば」という企画の選者を務め、「子どもにはいろんなものが生き生きと見えていると気付かされました。近くにいる大人がことばをつかまえて届けてくれるありがたい場所でした」と振り返っていました。
催しにはオンラインを含めおよそ280人が参加し、都内の40代の女性は「娘が小さいときに読んでいて子育てのつえのような雑誌だったので悲しく思います。具体的なノウハウとは違う、子育ての豊かな部分を補完してくれる雑誌でした」と話していました。
伊藤康編集長は「イベントでもたくさんの方が『残念』とか『母校がなくなったような気持ち』とおっしゃっていて痛切な思いがしましたが、それと同時に『お疲れさまでした』と言われて感謝の気持ちでいっぱいです。他社の広告は1ページもない、広告収入が0円の媒体ですが、何とかしながらこの72年間、子どもと大人が集える場所を作ってきたと思います」と話していました。
そのうえで、4月には絵本と子育てについてのウェブマガジンが新たに始まることから、「形は違いますが、子どもと大人がある種、対等に集える場所が続くといいと思います」と話していました。