「残れば死ぬ」「子供を生かせ」 真夜中の警告、おびえる住民―米軍のIS急襲・シリア北西部

東京, 2月5日, /AJMEDIA/

真夜中を少し過ぎたころ、スピーカーから大音量の声が流れてきた。「投降すれば安全だ。残れば死ぬぞ」。近くに住む男性は恐怖に震え、外をのぞくことができなかったと米紙ニューヨーク・タイムズに語った。シリア北西部に潜伏する過激派組織「イスラム国」(IS)最高指導者を狙った米軍急襲作戦の始まりだった。
 トルコ国境近く、シリア北西部イドリブ県のアトメ郊外。ニューヨーク・タイムズによると、低空飛行するヘリコプターの音が住民の眠りを妨げた。
 ドアが激しくたたかれた。男性が顔をのぞかせると、米軍特殊部隊の兵士とアラビア語を話す通訳が立っていた。家族と共に近くの建物の陰に避難するよう指示され、それに従った。
 IS最高指導者アブイブラヒム・ハシミ容疑者が潜伏する民家を包囲した米兵らは、すぐに攻撃を始めなかった。屋内の女性に向け「出てこい。子供に生きる機会を与えなさい」と繰り返し呼び掛ける。その声は次第に切迫し、出てこないと攻撃するという警告に変わった。
 ミサイルが民家を直撃したかのような大きな爆発音。さらに銃声が続く。約2時間後、ヘリが飛び去る音がして静けさが戻った。
 男性が自宅に戻ると、損壊した民家の近くに子供の遺体が横たわっていた。血が飛び散ったがれきからは何体も遺体が掘り出された。救助作業員はニューヨーク・タイムズの取材に、子供6人を含む少なくとも13人の遺体が見つかったと明らかにした。
 カービー米国防総省報道官は記者会見で、米軍は民間人犠牲者を最小限にするため、幾度となく避難を呼び掛けたと強調した。
 ハシミ容疑者が潜伏していた建物の1階からは、作戦開始前にISと関係のない一家6人が退避した。ハシミ容疑者の側近とその妻が立てこもって抵抗した2階からは銃撃戦が終わった後、子供4人が救助された。

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