東京, 1月28日, /AJMEDIA/
「エムポックス」、これまでのサル痘の流行が続くアフリカのコンゴ民主共和国に日本が提供したワクチン5万回分が1月24日、現地に到着しました。今後、現地の保健当局によって接種が進められる見込みです。
エムポックスは、コンゴ民主共和国を中心により重症化しやすいタイプのウイルスが流行していて、WHO=世界保健機関は去年8月「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。
コンゴ民主共和国の要請を受けて日本政府は熊本県のワクチンメーカー、KMバイオロジクスが開発したワクチンを提供することを決め、1月24日、5万回分のワクチンと接種に必要な針が現地に到着しました。
ワクチンの提供に先立って、日本政府では12月、職員や医師らを現地に派遣して、現地の医療スタッフらにワクチンの接種のしかたや注意点などを学んでもらう研修を行いました。
アメリカCDC=疾病対策センターによりますと、コンゴ民主共和国の感染者は疑い例を含めて5万人を超えているとみられますが、およそ30%は15歳未満の子どもだということです。
日本のワクチンは18歳未満の子どもにも使えるのが特徴で、今後、現地の保健当局によってワクチンの接種が進められる見込みです。
コンゴ民主共和国からはあわせて305万回分のワクチンの提供を要請されているということで、厚生労働省は残りのワクチンについても、準備ができ次第現地に輸送するとしています。
専門家「国際社会で感染症対策に大きな貢献」
WHOの諮問グループのメンバーでエムポックスに詳しい札幌市保健福祉局の西條政幸医務・保健衛生担当局長は「今回の流行は子どもで症状が強く出て、亡くなることも多いので、今回提供されるワクチンが、子どもへの接種の安全性が確認されたものであることは重要だ。流行を抑えるには、医療従事者や多くの人と関わる職業の人、それに患者の周囲の人に、積極的にワクチンを接種していくことが必要だ」と指摘していました。
また「提供されるワクチンは日本で開発、製造されたもので提供できるのは日本のほかにない。アフリカに住む人に貢献できるだけでなく世界規模の流行リスクを下げる意味もあり、国際社会で感染症対策に対する大きな貢献につながる」と話していました。