Site icon AJMEDIA 日本語

G7後も円安止まらず 懸念共有、自国優先にじむ

東京, 10月19日, /AJMEDIA/

 米ワシントンで先週開かれた先進7カ国(G7)と20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議は、円やユーロなどの通貨価値が対ドルで軒並み下落する「ドル独歩高」を念頭に、為替変動に対する懸念を共有した。しかし、その後も米国からはドル高を容認する要人発言が繰り返され、円相場は連日、約32年ぶりの安値を更新。為替をめぐる国際連携の実効性が問われそうだ。
 「為替について連携することを確認したG7声明は大きな意味がある」。岸田文雄首相は円相場が一時、1ドル=149円台に急落した18日、衆院予算委員会で会議の成果を強調した。G7声明は、為替変動の背景にある米国などの金融引き締めについても「ペースを適切に調整する」と明記。首相は追加の為替介入も示唆して市場を強くけん制する一方、国際協調による円安圧力の緩和にも期待を示した。
 ただ、11月に中間選挙を控える米国は、インフレを悪化させかねないドル高の是正には慎重だ。バイデン大統領は15日(現地時間)、記者団に「ドルの強さについては懸念していない」と述べ、問題があるとすれば「他の国々の経済成長と健全な政策の欠如だ」と主張した。市場からは「米国ファーストの発言がドル買いに安心感を与えている」(大手邦銀)との指摘が出る。
 英トラス政権の迷走も円安を加速させる恐れがある。先月下旬に打ち出した大規模減税策は、財政の持続性に関する市場の懸念から、通貨、国債、株式の「トリプル安」を招いた。影響は米国の金利上昇に及び、円安の遠因となったとされる。17日には「ほぼ全てを撤回」(ハント英財務相)したが、「市場の関心が再びドル円に戻ってくる可能性があり、円安・ドル高圧力となることも考えられる」(FX会社)との見方もある。
 自民党は18日、政府の総合経済対策に対する提言で、「(物価高などの)国難に打ち勝ち、国民の安心に足る『規模』と『内容』が重要だ」と訴えた。ただ、財政への市場の信認を失えば、英国の二の舞いになりかねず、日本政府が自ら円売りを招くリスクも否定できない。

Exit mobile version