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防衛費増「つなぎ国債」 政府検討、償還財源が焦点

東京, 5月27日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相が防衛費の「相当な増額」を表明したことを受け、政府は当面の増額分について、将来の償還財源を明確にして発行する「つなぎ国債」で賄う検討に入った。政府関係者が26日明らかにした。赤字国債を際限なく発行しかねないとの国民の不安を考慮し、財政規律を維持している姿勢を示す狙いがある。実際に実行に移す場合、増税を含め償還財源が焦点となる。
 首相は先のバイデン米大統領との首脳会談で、ウクライナ情勢や中国の動向を踏まえ、防衛費の大幅増額を目指す意向を伝達。こうした方針を夏の参院選で訴え、2023年度予算編成に反映させる考えとみられる。
 増額の規模は与党と調整する。問題は増額を一般的な赤字国債に頼ると、自民党などの圧力によっては発行額に歯止めがかからず、政府の予算が膨張し続ける恐れがあることだ。
 一方、つなぎ国債も赤字国債ではあるものの、将来償還に充てる財源を明らかにした上で発行する。返済財源が不透明な一般的な赤字国債と区別され、償還期間も短く設定されるため、政府内には野放図な防衛費拡大を抑制できるとの見方がある。首相は25日の衆院本会議で「防衛費を安定的に確保する観点から、財源の在り方も合わせて検討する」と述べた。
 つなぎ国債の償還は増税で対応する案が有力で、過去の基礎年金国庫負担引き上げの際には消費税増税が充てられた。例えば、自民党が提唱する防衛費「国内総生産(GDP)比2%」「5年以内の達成」を実現しようとすると、単純計算で年1兆円程度の増額分を増税で賄う必要が生じる。
 「相当な増額」をどの程度の期間維持するのかも課題となる。増額分は複数年度に分けて積み上げるとみられ、期間が長引けばそれだけ国民負担は増す。与野党は基本的に増額には理解を示しており、参院選では規模や財源、負担の在り方が争点になりそうだ。

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