東京, 2月16日, /AJMEDIA/
自動車大手各社の労働組合は15日、2023年春闘の要求書を経営側に提出した。物価高で賃金が実質的に目減りする中、過去最高水準の賃上げを求める動きが拡大。「100年に1度」の変革期にある自動車業界では、大幅賃上げに生き残りを懸けた人材確保の狙いも込める。
主要電機メーカーでも、東芝やNECの労組が同日、要求書を提出。来月15日の集中回答日に向けて大手企業の個別交渉が本格化する。
トヨタ自動車の労組は職種や職位ごとに3570~9370円の賃上げを要求した。1人当たりの平均賃上げ要求額は開示していないが、過去20年で最も高い水準という。基本給を底上げするベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分を巡っては、過去2年は要求の有無を公表していなかったが、今春闘では要求に含むことを明らかにした。
ホンダの労組はベア要求額を月1万2500円と30年ぶりの高水準に設定し、制度上の昇給分も合わせた要求総額は1万9000円。日産自動車やマツダ、SUBARUなどの労組はいずれも現行の要求方式になって以降、最高水準の要求となった。
自動車労組の上部団体に当たる自動車総連の金子晃浩会長は15日の記者会見で、高水準の要求案に関し「物価上昇への充当を求める声に、しっかり組合として応えた結果だ」と強調。「ここまで大きな経済環境の変化、生活環境の悪化は(これまで)見られなかった」と背景を説明した。