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英、EU離脱の影響相殺できず TPP「日本の偉大な成果」―英誌エコノミスト元編集長に聞く

東京, 7月17日, /AJMEDIA/

【ロンドン時事】環太平洋連携協定(TPP)加入が決まった英国の狙いやTPPの将来などについて、英誌エコノミスト元編集長のビル・エモット氏に話を聞いた。
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 ―英国にとってTPPに入る意義は。
 急成長しているインド太平洋地域の貿易と投資のルールに関する協議に継続的に参加できることだ。英国から地理的に遠いが、世界経済において極めて重要な地域に関わるチャンスを得られる。
 ―欧州連合(EU)離脱の負の影響を相殺できるか。
 それは無理だ。EUとの貿易障壁は多大な経済的コストを生んだ。また、英国は既に日本やオーストラリアなど主なTPP締約国と個別に自由貿易協定を結んでおり、TPP加入で得られる追加的な利益はほぼゼロだ。
 ―日本との関係は変わるか。
 英国は地政学的観点から日本の緊密なパートナーになることを強く望んでいる。安全保障はもちろん、貿易においてもだ。両国は人口、軍事、経済面で中程度の規模を持ち、同盟国の米国を良い方向に進ませる共通の役割がある。TPPは良好な日英関係に寄与し、米国への影響力強化にもつながる。日本の偉大な成果だ。
 ―米国のTPP復帰はあり得るか。
 TPPのような大型の貿易協定が米議会で承認されることは現時点で想像できない。一つの政党が両院で絶対多数を握らなければならない。貿易協定を巡る政治状況が変わるには恐らく10年近くかかるだろう。
 ―中国、台湾、ウクライナなどが加入申請している。
 中国の申請は外交戦略の一環であり、自らも加入できるとは思っていないはずだ。そもそもTPPのルールを受け入れることが極めて難しい。台湾はルールに適応できるが、政治的な論争を引き起こすだろう。ウクライナはロシアに対抗する上で、インド太平洋地域との対話の機会を持ちたいのだと思う。EUへの加盟をより真剣に望んでおり、実現すれば通商交渉権をEUに移譲しなければならない。
 ―TPPの将来は。
 世界的に重要な役割を果たす可能性がある。技術の進展などに伴い貿易ルールの近代化が必要だが、百数十カ国が加盟する世界貿易機関(WTO)でコンセンサスを得るのは難しい。TPPは影響力を高めることで、世界貿易を切り開いていく存在になり得る。

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