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米中貿易協議、「枠組み」合意も予断許さず 立場の隔たり大きく

東京, 6月11日, /AJMEDIA/

米中両政府は9、10の両日にロンドンで開いた閣僚級貿易協議で、これまでの合意を履行するための「枠組み」設置で一致した。ただ、レアアース(希土類)や半導体の輸出規制を巡る立場の隔たりは大きく、交渉の先行きは予断を許さない。

 「2大経済大国には多くの複雑な問題があるが、合意を実施するための枠組みを確立できた」。ラトニック米商務長官は協議終了後、記者団にこう語り、中国に撤回を求めてきたレアアースの輸出規制問題で進展があったと説明した。規制緩和を前提に、中国に相応の措置を取る考えを示した。

 中国は4月に米国の対中関税引き上げに対する事実上の対抗措置としてレアアースの輸出規制を強化した。ただ、「特定国を狙ったものではない」(外務省)と主張し、規制の見直しに否定的な考えを示してきた。

 レアアース不足が直撃する米自動車業界では、「米中が合意しない限り、車を製造できなくなる」(専門家)恐れが現実味を帯びていた。ラトニック氏は協議後、「あまりにつらい状況」と述べ、焦りを隠さなかった。合意内容の詳細は明らかにされていないものの、中国側は半導体の対中規制の緩和が必要だと繰り返し訴えており、何らかの取引があった可能性はある。

 一方、北京の外交筋は「中国はしたたかだ。カードを完全に捨てることはない」と指摘。安全保障の観点を踏まえると、米側も対中半導体規制の大幅な見直しは難しいとみられている。このため、対立はいったん緩和するものの、「数カ月以内に再び緊張が高まる」(オーストラリア金融大手)といった見方も出ている。

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