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第166回直木賞は今村翔吾さんと米澤穂信さん

東京, 1月20日, /AJMEDIA/

今村翔吾さんの経歴と作品
直木賞の受賞が決まった今村翔吾さんは京都府出身の37歳。

ダンスのインストラクターや滋賀県守山市の埋蔵文化財センターの調査員などを経て、2017年に「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」でデビューしました。

直木賞は2018年に発表した「童の神」、おととしの「じんかん」に続いて、3回目の候補での受賞となりました。

受賞作の「塞王の楯」は、戦国時代、武将たちの活躍の陰で城の石垣作りに命をかける職人集団「穴太衆」の姿を描いた歴史小説で、幼い頃、戦乱で家族を失い、「穴太衆」に育てられた石垣職人・匡介が主人公です。

豊臣秀吉の死後、戦乱の気配が迫る中、大軍に囲まれた大津城を舞台に絶対に破られない石垣こそが戦の無い世を作ると考える匡介と、どんな城でも落とせる鉄砲ができれば、戦は無くなると信じる鉄砲職人の集団「国友衆」の頭目との互いの信念をかけた対決を躍動感のある文章で描き出しています。
米澤穂信さんの経歴と作品
直木賞の受賞が決まった米澤穂信さんは、岐阜県の出身で43歳。

大学生のころからウェブ上に自分の作品を発表し、2001年には「古典部」に入部した高校生が日常に秘められた謎に挑む「氷菓」が角川学園小説大賞の奨励賞を受賞して作家としてデビューしました。

その後、2010年に発表した「折れた竜骨」で日本推理作家協会賞を、2014年に刊行された短編集の「満願」で山本周五郎賞を受賞して人気作家としての地位を確立しました。

直木賞については「満願」と、その翌年に刊行された「真実の10メートル手前」で候補に選ばれましたが、受賞はならず、いわば“三度目の正直”で今回の受賞となりました。

受賞作の「黒牢城」は、戦国時代、織田信長に背いて「有岡城」に立てこもった荒木村重が、翻意を促すためにやってきた黒田官兵衛をろう獄に幽閉したという史実を下敷きにした小説です。

織田方に包囲された城内では、密室殺人をはじめとする不可解な事件が次々と起きて村重は、ろうの中の官兵衛に対して謎解きを求めるようになり、その場でほのめかされたヒントを基に解決を図ります。

村重と官兵衛の心理戦が緻密に描かれるだけでなく、事件の謎解きという推理小説としての要素と、戦国の世の価値観や慣習を盛り込んだ歴史小説としての要素を併せ持つ作品として話題になりました。

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