東京, 3月16日, /AJMEDIA/
作家の横光利一が自分の死の半年余り前、親友の川端康成に宛てて出した手紙が残されていたことが日本近代文学館への取材で分かりました。横光から川端に宛てた現存するものでは最後の手紙とみられ、死の間際まで続いた2人の交流を伺わせる資料として注目されます。
この手紙は1947年4月、当時、病床にあった横光が書いたもので、日本近代文学館が来月から開く展覧会のために行った調査の過程で確認されました。
3枚のうちの冒頭で横光は「一番手紙を書かなければならぬ人へ、一番書けなかった一年でした」としたため、自分の体調不良のために手紙のやり取りが途絶えていたことをわびています。
また「花が咲き出してからようやく愉快になって来ました」と記したうえで、今度、初めて短歌を作るので川端に直してほしいと申し出ています。
2人は20代の初めに菊池寛の紹介で知り合って以降、生涯にわたって親交を深め、この手紙から半年余りあとに横光が亡くなった際、川端は「君は常に僕の心の無二の友人であったばかりでなく、菊池さんとともに僕の二人の恩人であった」という弔辞を送っています。
今回の手紙は横光から川端に宛てた現存するものでは最後の手紙とみられています。
日本近代文学館の中島国彦理事長は「お互い尊重し合う中で相手を気遣いながら自分の思いを述べている。横光から川端への思いが込められた手紙だ」と話しています。
この手紙は来月2日から公開されます。