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旧統一教会の調査長期化 文化庁、証拠積み上げに時間―専門家「強制力なく限界も」

東京, 7月08日, /AJMEDIA/

安倍晋三元首相銃撃事件を機に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題は社会から大きな注目を浴びた。文化庁による調査は昨年11月に「報告徴収・質問権」が初行使されてから7カ月余りが経過し、長期化の様相を見せる。専門家からは強制力のない調査の限界を指摘する声も上がるが、同庁宗務課は「期限ありきではない」と強調。教団への調査だけでなく、高額献金した被害者への聞き取りにも力を入れ、解散命令請求の可否を判断するための証拠の積み上げを続けている。
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 文化庁は昨年11月、教団や信者の不法行為責任を認めた民事判決が計22件あることなどを根拠に、宗教法人法に基づく質問権行使に踏み切り、これまでに6回実施した。組織や財産に関する文書や帳簿などの提出を求め、回を重ねるごとに確認内容を具体化。多い時には質問項目は200を超えた。教団は全て期限内に回答したが、同庁関係者は「こちらが望む内容かどうかは別だ」と不満を漏らす。
 教団への質問権を行使する一方で、同庁が力を入れるのが被害者からの聞き取りだ。高額献金に至った経緯や勧誘手法などで似通ったケースが多ければ、組織的な関与の立証にもつながる。同庁は、正確を期すため1人につき複数回の聞き取りを実施。心の整理が必要な場合もあるため、心情に配慮しながら時間をかけて行っている。
 長期化する調査について、同庁関係者は「何らかの方針や見通しを持ってやっているわけではない」と話し、恣意(しい)性を排除しながら進めていると強調する。宗務課は「しっかり証拠を積み上げていくことが重要だ」とする。
 近畿大の田近肇教授(憲法学)は「宗教法人法は宗教法人の活動を取り締まるための法律ではない」と指摘し、「強制力がない中での証拠収集と精査に時間を要するのはやむを得ない」と理解を示す。その上で「『裁判所が認めてくれませんでした』では済まない。『絶対勝てる』という確信を持てるまでは請求を出しにくいのではないか」と話した。

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