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地方競馬復活へ本腰 法改正で支援拡充―来場者獲得、活性化の核に

東京, 11月23日, /AJMEDIA/

 地方競馬の復活へ関係者が本腰を入れている。インターネットで手軽に馬券を購入できるようになったことなどで売り上げは回復基調だ。しかし、財務基盤は弱く、施設の大規模修繕などへの投資余力は乏しい。政府は今国会で競馬法を改正して支援体制を拡充。来場者獲得に対策を講じて地域活性化を目指す。
 2021年度の地方競馬の売り上げは前年度比で1割程度増えて9933億円と30年ぶりに過去最高を更新した。地方から中央競馬へ移って活躍したオグリキャップをきっかけに競馬界が盛り上がった1991年度をピークに、地方競馬は長らく低迷し、競馬場の廃止も相次いだ。
 売り上げは11年度を底に、ネット馬券浸透や日本中央競馬会(JRA)との相互販売が奏功して徐々に回復し、20年度の売り上げは9000億円を超えた。ただ、来場者数は91年度の約1460万人をピークに、コロナ禍前の19年度には8割減の約305万人まで落ち込んだ。関係者は「ここ2年の売り上げ急増はコロナ禍に伴うレジャー自粛に後押しされた面がある」と分析する。
 高知競馬場(高知市)では、低迷期に累積債務が一時88億円に拡大した。賞金減額など支出を縮小する一方、初めて通年でナイターレースを導入したり、ライブ配信したりして収益を改善。21年度売り上げは約949億円と6年連続で過去最高を更新した。同競馬場は売り上げ拡大だけを追うのではなく、地域活性化の一つの核となるために来場者獲得も重要と考える。ファミリー客を呼び込もうと、来年春にも大規模な遊具施設を造る計画だ。
 改正競馬法では、地方競馬の施設整備のためJRAから地方競馬全国協会(NAR)への支援を拡充。馬産地の振興支援は恒久化した。農林水産省によると、地方競馬場が修繕を後回ししてきた厩舎(きゅうしゃ)など施設の7割で耐用年数を超えており、対応は急務だ。23年度以降には全体で2400億円超が必要になると試算する。
 施設などを充実・強化して強い馬づくりを進めれば地方競馬の魅力が高まり、集客を通じて競馬場の経営基盤強化や馬産地振興にもつながる。地域活性化の拠点の一つにできるか、関係者の知恵が試される。

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