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中豪首脳会談 安全保障で立場の違いも経済面の関係改善で一致

東京, 11月07日, /AJMEDIA/

オーストラリアのアルバニージー首相と中国の習近平国家主席が6日夜、北京で会談し、安全保障面での立場の違いを認めながらも、貿易など経済面での関係改善を進めることで一致しました。

オーストラリアのアルバニージー首相は、今月4日からオーストラリアの首相としては7年ぶりに中国を訪れていて、6日夜、北京で習近平国家主席と会談しました。

この中で習主席は両国関係について「改善と発展に向けた正しい道を歩み始めた。両国には歴史問題や根本的な利益の衝突がなく、完全に互いが信頼を寄せるパートナーとなりえる」と述べ、経済分野を中心にした関係改善に意欲を示しました。

一方で、習主席は「『小さなグループ』を作っても国際社会が直面する困難は解決できない。アジア太平洋地域を混乱に陥れようとするたくらみに対してわれわれは警告し反対する」と述べ、安全保障の分野でアメリカなどと連携を深めるオーストラリア側をけん制しました。

会談のあとアルバニージー首相は、台湾の現状を維持することが必要だというオーストラリアの立場を改めて表明したうえで、「両国が安定した関係に戻ったことで、貿易も回復していることを歓迎した。これは両国にとって大切なことだ」と述べ、安全保障面での違いを認めながらも貿易など経済面での関係改善を進めることで一致したと強調しました。

またアルバニージー首相によりますと、習主席は会談の中でTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入に改めて意欲を示したということで、中国側には参加国のオーストラリアとの関係改善で加入への支持を得たい思惑もあるものとみられます。

オーストラリアと中国の関係は
オーストラリアにとって中国は10年以上にわたって最大の貿易相手国であり、経済関係を基盤に関係を発展させてきました。

2014年に習近平国家主席がオーストラリアを訪問し、両国関係を「包括的な戦略的パートナーシップ」に引き上げると、2015年にはFTA=自由貿易協定が発効し、オーストラリアから牛肉やワイン、それに石炭などの天然資源の輸出が拡大しました。

しかし2017年、中国系企業から資金提供を受けていたオーストラリアの議員が南シナ海の問題について、中国寄りの発言をしたことが明らかになり、オーストラリアで中国による内政干渉への懸念が高まります。

2018年に、国内の5Gの整備にあたり、中国企業の製品を使わない方針を打ち出したことに加え、2020年には、当時のモリソン政権が新型コロナウイルスの発生源をめぐる独立調査が必要だと主張したことで、中国との関係悪化は決定的となりました。

こうした動きに反発した中国は、オーストラリア産の▼石炭の輸入を停止するよう指示したとされるほか、▼大麦やワインに80%から200%を超える高額の関税を上乗せします。

また、2020年8月には、中国国営テレビでキャスターを務めていたオーストラリア国籍のジャーナリストが国家機密を違法に外国に提供したとして、中国当局に拘束され、両国関係は一段と悪化していました。

こうした中、去年、オーストラリアで労働党のアルバニージー政権が誕生すると、去年11月には、インドネシアで6年ぶりとなる中国の習近平国家主席との首脳会談が実現するなど、関係改善に向けた動きが見えるようになります。

ことし8月以降、オーストラリア産の大麦やワインにかけられていた高額の関税を撤廃することを両国が発表しているほか、10月には3年にわたって拘束されていたオーストラリア国籍のジャーナリストが解放されました。

また、オーストラリア側も北部ダーウィンにある港の一部を中国企業に99年間貸し出す契約について、見直しを検討していましたが、10月、「その必要なはい」と、継続を決めています。

▼アメリカ、イギリスとの3か国による「AUKUS」や▼日本、アメリカ、インドとの「QUAD」という枠組みで、安全保障面ではアメリカなどと歩調を合わせつつ、経済面では、中国との関係を維持してきたオーストラリアが、今後、どのようにバランスをとるのか注目されます。

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