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中国、対テロ戦の最中に台頭 米の矛先向けられ警戒―「9・11」から20年

東京, 9月8日, /AJMEDIA/

【北京時事】米同時テロが起きた2001年当時、中国は米国と共闘をアピールした。それから20年。対テロ戦争で消耗する米国を横目に、中国は経済・軍事面で台頭し、その覇権を脅かす存在となった。米軍のアフガニスタン撤退は対中戦略に資源を集中させる狙いがあり、中国は警戒感を隠さない。

 米同時テロ発生から約1カ月後の01年10月。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれた上海で、江沢民国家主席はブッシュ米大統領と初会談に臨み、「対テロ攻撃を支持する」と強調した。
 ブッシュ氏は同1月の大統領就任当初、中国を「戦略的競争相手」と位置付けて対抗意識を燃やしていたが、同時テロ以降、対中戦略を転換した。江氏に対して「中国は米国の敵ではなく友人」と持ち上げ、中国の世界貿易機関(WTO)加盟への支持も伝えた。
 当時の中国は、江氏を抜てきしたトウ小平の「韜光養晦」(能力を隠し外に出さない)という慎重な外交方針が受け継がれていた。国内総生産(GDP)は日本に次ぐ世界3位で、米国の8分の1にすぎなかった。
 米国が対テロ戦に没入する中、中国は着々と国力を蓄えていく。12年に習近平氏が共産党総書記に就いて以降、南シナ海の人工島埋め立てを強行し、オバマ米政権はこれを止められなかった。さらに習政権は「反テロ」の名目で、新疆ウイグル自治区の独立派の取り締まりを強化。自治区に隣接するアフガンの過激派組織に対する米軍の攻撃は、中国の負担を「肩代わり」もしていた。
 中国は10年に日本を追い抜いて世界第2位の経済大国に躍り出る。米中貿易摩擦に業を煮やしたトランプ前政権は対立路線に拍車を掛けた。その後を継いだバイデン大統領は今年8月31日、アフガン撤収後の演説で「われわれは中国と競合している。中国とロシアは米国がアフガンで身動きできなくなることを何より望んでいる」と説明した。
 王毅国務委員兼外相は今月3日、イランのアブドラヒアン外相との電話会談で「米側は、アフガン撤兵は中ロに注力するためと公言している。失敗の言い訳探しで、世界で強権政治の続行をたくらむ本質をさらけ出した」と批判。共産党機関紙・人民日報系の環球時報も1日の社説で「中国人は米国による『戦略的重心の移動』を重く見なければならない」と警戒感を表明した。

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