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両陛下、沖縄戦遺族いたわる 「おつらかったでしょう」―目見詰め、一人一人と対話

東京, 10月23日, /AJMEDIA/

 即位後初めて沖縄を訪問した天皇、皇后両陛下は22日午後、到着後最初に、太平洋戦争末期の地上戦で多くの犠牲が出た南部戦跡に赴き、戦没者を慰霊された。「おつらかったでしょう」。遺族一人一人の目を見詰め、長年の苦しみをいたわった。
 午後2時半ごろ、糸満市の国立沖縄戦没者墓苑に到着した両陛下は、出迎えた遺族ら19人に頭を下げ、納骨堂前に進んだ。白いユリの花束をささげ、深く一礼。その後、予定を大幅に超えて20分近く、遺族一人一人と対話した。
 家族5人が犠牲となった照屋苗子さん(86)は、天皇陛下から「どなたを亡くされましたか」と問われ、目の前で祖母と姉ら家族を失った状況を伝えた。心が張り裂けそうになりながらも語り部を続けていると説明すると、皇后さまは「貴重なお話を伺いました」と思いやった。
 照屋さんは、両陛下が自分の目を見詰め、よく聞こえるよう大きな声で話してくれたといい、その姿に「上皇ご夫妻の心を引き継いでいると感じた」とかみしめるように語った。
 「天皇になられて、沖縄に対する思いはますます強くなったのでは」。父親らを失った沖縄県遺族連合会会長の宮城篤正さん(81)はこう感じたといい、「今後もそうあってほしい」と願った。
 両陛下は夕方、宿泊先の宜野湾市のホテルで、沖縄県の小中学生による「豆記者」を経験した高校生らに出迎えられた。その後、5月の沖縄復帰50周年記念式典の出席者5人と懇談した。
 式典で若者代表を務めた普天間真也さん(31)は、高校からエイサーなどの伝統芸能に携わってきた。「戦争や基地問題もあるが、沖縄独特の文化も知ってほしい」と懇談に臨んだ。新型コロナウイルス下で4年ぶりにエイサー祭りを開催したことが話題に上り、陛下は「応援しております」と笑顔を見せた。

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