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ブルガリアとルーマニア拒否 クロアチアは認める―欧州「シェンゲン協定」

東京, 12月10日, /AJMEDIA/

欧州内の移動の自由を認める「シェンゲン協定」に来年から旧ユーゴスラビア構成国クロアチアが加わることになった。一方、ブルガリアとルーマニアは拒否され、不満が強まった。欧州に新たな分断線が引かれ、しこりを残しそうだ。
 欧州連合(EU)は8日、クロアチアが来年1月1日をもってシェンゲン協定に加わることを承認した。対照的に、ブルガリアとルーマニアについては、オーストリアとオランダが反対し、参加は認められなかった。
 シェンゲン協定には、EU加盟27カ国中、ブルガリアとルーマニア、クロアチア、キプロス、アイルランドを除く22カ国が参加している。これにEU非加盟のスイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランドが加わり計26カ国で「移動の自由」を可能にするシェンゲン圏を形成している。クロアチアは27カ国目の参加国となる。
 新たに加わるには既存の全参加国が一致して承認しなければならない。しかし、まずオーストリアが拒否権を発動した。
 オーストリアのカルナー内相は8日、シェンゲン協定について「あちこちで制度が機能していないときに拡大するのは間違っている」と強調した。ブルガリアやルーマニアといった隣国からオーストリアに入り込む「不法移民は今年だけで10万人を超えている」と訴えた。両国に「移動の自由」を認めれば流入は今以上に激化すると主張している。オランダもこれに同調した。
 ブルガリアのデメルジエフ内相は「落胆している」と失望を隠さない。しかし、シェンゲン入りを目指し「今後も準備を続ける決意は固い」と述べた。
 ヨハンソン欧州委員(内務担当)は「私もがっかりしている」と記者団に語った。これから2年間かけて改革を進め、仕切り直すと誓った。
 一方、クロアチアの国境警備隊は、1月1日からのシェンゲン圏入りは可能だと断言した。しかし、陸路はともかく空路については技術的な問題が残っており、パスポートなしで出入りが可能になるのは3月下旬と考えられている。

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