Site icon AJMEDIA 日本語

ビートルズ来日で新映像 幻の最終公演も、警視庁撮影―NPOが開示請求、ネット公開

東京, 10月3日, /AJMEDIA/

 ビートルズが1966年に来日した際、警視庁が警備の状況などを撮影した映像が、56年ぶりに新たに公開された。NPO法人「情報公開市民センター」(名古屋市)が情報公開請求し、訴訟を経て、同庁がメンバー以外のファンや警察官の顔にモザイクをかけた上で開示した。これまで未発見だった最終公演の様子も一部記録されており、専門家は「幻の映像で、歴史的、文化的遺産だ」としている。
 公開されたのは、一行が来日した66年6月29日~7月3日に撮影され、「ザ・ビートルズ来日に伴う警備」と題された35分40秒の無音のモノクロ映像。会場となった日本武道館や滞在先のホテル周辺で多くの警察官が警戒する様子、メンバーが羽田空港に到着する場面、号泣するファンの姿などが記録されている。
 公演の様子も一部あり、全5回のうち映像が未発見だった7月2日夜の最終公演も含まれている。「ビートルズ来日学」などの著書がある音楽評論家の宮永正隆さん(62)は「残っていたのは快挙だ。ジョン・レノンが日本滞在中に買ったサングラスを掛けて演奏する姿も初めて映像で確認できた」と話した。
 警視庁によると、当時は著名人の音楽イベントなどの大規模警備はほとんどなく、資料として残すため撮影したとみられるという。
 センターは2014年に映像の存在を知り、同庁に情報公開請求したが、一般人の顔が映っているなどとして一部開示とされた。全面開示を求めて提訴したが、18年に最高裁で敗訴が確定。当初決定に基づき開示を求めたところ、モザイク処理をしたDVDが今年7月に届いたという。
 宮永さんは「世界中の若者を熱狂させたビートルズを体制側が過剰に恐れていたことも分かる。56年前の映像にモザイクをかける意味はないと思うが、開示させた意義は大きい」と指摘。センター理事長で自身もビートルズファンという新海聡弁護士は「情報公開の在り方や個人情報とは何かを考える材料として、楽しみながら見てほしい」と話した。
 気になるのは編集前の元映像だ。新海弁護士は「2台のカメラで撮っている部分もあり、カットされた映像が膨大にあるはずだ」と期待を寄せ、新たな情報公開請求を検討する考えも示した。
 開示された映像は、ユーチューブの全国市民オンブズマン連絡会議のチャンネルで公開されている。

Exit mobile version