東京, 6月12日, /AJMEDIA/
癒やし系のペットとして空前のブームとなっているネコ。日本ではいま、およそ11世帯に1世帯がネコと暮らしていると言われています。
ネコに関連する費用や支出を計算した経済効果「ネコノミクス」は年間約2兆円にのぼるという試算も。
そして近年、“ネコ吸い”ということばが話題になるなど、ネコ好きな人の不思議な行動も注目されています。
ツンデレで気まぐれなネコが、どうしてこうも愛されるのか?
ネコが人の心をひきつけるワケを心理学や生物学、においの成分分析など、さまざまな角度から科学的に調査してみました。
(大阪放送局 カメラマン 的場紫雲英)
高まるネコ人気
「気まぐれに甘えてくれるところが好きです」
「見た目も声もしぐさも全部かわいい。自由なところとかかわいい」
人とともに歩んできたネコ。
その歴史は約9500年前にさかのぼり、農耕文化の発達により、害獣駆除の目的で家畜として人間に飼われるようになったのが始まりと言われています。その後、ペットの枠を超えて家族の一員として愛されるようになりました。
ネコの新規飼育頭数は、2018年は約35万頭でしたが、2021年には約49万頭まで増加(ペットフード協会まとめ)。3年で約4割も増えました。
コロナ禍をきっかけに自宅で過ごす時間が増えたことで、イヌやネコなどのペットの飼育頭数が増えたと考えられています。
ネコと過ごす時間が増えるにつれ、その過ごし方も多様化してきました。
“ネコ吸い”に夢中になる人たち
大阪市にあるネコ好きが集まるレストランを訪ねてみると、店のあちこちで、ネコの体に顔をうずめる人たちの姿が。
この状態で深く呼吸する行為が”ネコ吸い”です。
このようにネコを余すことなく堪能し、日頃のストレスを和らげようとする人が増えています。
近年では”ネコ吸い”の映像が投稿されるなど、SNSを中心に話題となっています。
客
「おなか出して寝てるときがあってそれを見てると吸い込まれちゃいますね。おなかフワフワなんですよね」
「やったらやめらんなくなる。これが“ネコ吸い”や」
みなさんそろっていいにおいだと言い、感じ方はさまざまです。
▽コロンビアコーヒーみたいな香ばしいにおい
▽太陽の光を浴びたようなにおい
▽干し立てほやほやのお布団のにおい
▽甘いような懐かしいような不思議なにおい
店長の寺岡さんは2005年にこのレストランを開業。2020年に親子のネコを保護したことから、保護ネコ活動を兼ねた経営を始めました。始めてみると、店を訪れる客の多くがネコ吸いをすることに驚いたといいます。
寺岡直樹店長
「ほとんどの人がネコが近くに寄ってきたら”ネコ吸い”をします。しない人は珍しい。一番変わった人だと肉球吸うんですよ。ああ香ばしいって意味わからへん。たしかにトウモロコシのようなにおいするときありますけど」
※ネコ吸いをするときに気をつけて欲しいこと
大阪府内で動物病院を開く池堂亜季奈先生は「“ネコ吸い”を行う際は、ノミやダニなどの寄生虫、細菌などの感染症リスクがあります。定期的に予防接種を受けたり、毎年動物病院で健康診断を受けて人獣共通感染症のリスクがないことを確認したうえで行ってほしい」と話しています。
またネコ吸いを行うことで、ネコに過剰なストレスをかけないよう注意し、嫌がるネコに無理にすることは控えてほしいとのことです。
ネコのにおいを科学的に調査!
人がひかれるネコのにおいとは何なのか。
科学的に調査することにしました。
まずは分析のために、においが染み込んでいるネコの毛や、首輪・シーツなどの繊維を採取します。
採取の際は、全身を衛生服で覆い、手袋をはめ、よけいなにおいが付着しないように細心の注意を払います。
とれたサンプルはアルミホイルに乗せ、丁寧に包みます。
アルミホイルを用いるのは、なるべくネコ以外のにおいを付着させないためです。
生後1か月、10か月、2歳、6歳、最高齢18歳と、年齢の異なるネコから採取し集まったのは4匹分のネコの毛、4匹分の首輪、3枚の毛布の合計11個のサンプルです。
においのスペシャリストに分析を依頼
これらのサンプルを大阪 和泉市にある大阪産業技術研究所で分析をお願いしました。
協力していただいたのは研究員の坂井比奈子さん。
人がにおいを感じる嗅覚受容体の専門家で、芳香剤や消臭剤の性能評価を行う「においのスペシャリスト」です。
においの成分分析をするため、サンプルを一つ一つ分析用の袋に入れ、においの成分を抽出します。
これを人が感じられない領域まで分析できるハイスペックな装置を使って、においの成分を解析します。大阪府に数台しかないこの装置、お値段なんと約7000万円。
すべての分析結果が出るまで2週間待ちます。
見つかった意外なにおいとは?