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トヨタ求心力の象徴 規制緩和でも指導力―豊田章一郎氏

東京, 2月15日, /AJMEDIA/

 発明王、豊田佐吉氏の直系の孫で、創業家「当主」のトヨタ自動車名誉会長、豊田章一郎氏が不帰の客となった。グループの求心力の象徴として、トヨタを世界的自動車メーカーに押し上げる土台を構築。規制緩和の推進をはじめ、経団連会長としても指導力を発揮した。
 トヨタはもともと財界活動に興味を示さず、愛知県の三河の地にこもる「三河モンロー主義」とやゆされていた。その路線を転換する契機となったのは、日本からの輸出攻勢で1980年代に激化した日米自動車摩擦だ。
 社長時代の84年に米ゼネラル・モーターズ(GM)と合弁工場を設立し、米国での現地生産化を進めた章一郎氏は、「かんばん方式」を海外に広げる世界戦略を展開する中、対外調整の必要性を痛感。その後、財界活動にも次第に力を注ぐようになる。
 経団連会長を務めた94年5月からの4年間は、経済のグローバル化に対応するため、周囲をへきえきさせるほど規制緩和の重要性を繰り返し訴え、「ミスター規制緩和」と呼ばれた。前任の故平岩外四氏が決断した政治献金あっせん廃止を受け、企業経営者と政治家の相互理解を図る「企業人政治フォーラム」を設立するなど、政・財界の新たな関係づくりにも奔走した。
 リーマン・ショック後の世界的不況で創業以来最大の危機に陥ったトヨタは2009年、章一郎氏の長男、章男氏に社長を「大政奉還」。章男氏は業績のV字回復を果たし、今年4月に社長を非創業家の佐藤恒治氏に託して会長に就く。章一郎氏は、トヨタの再生と、電動化時代への対応に挑む次世代の経営体制を見届け、旅立った。

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