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ギフチョウの分布拡大史解明 愛好家の仮説、遺伝子で実証―岐阜大など

東京, 7月01日, /AJMEDIA/

日本の固有種で、秋田県以南の本州にいるギフチョウが生息分布を広げる過程を遺伝解析で明らかにしたと、岐阜大と山形大の研究チームが6月30日付の国際科学誌に発表した。ギフチョウは東海、中国、関東地方の順に分布を広げたことが判明。特に中国地方では、餌となる植物の違いに適応しており、昆虫愛好家の間では1970年代から提唱されていた仮説を裏付ける形となった。
〔写真特集〕守ろう 絶滅危惧種

 ギフチョウは1883年に岐阜県内で初めて採集、命名された。里山に生息するが、宅地開発などにより個体数は減少し、環境省が絶滅危惧種に指定している。
 岐阜大の土田浩治教授らは、遺伝子の個体差(SNP)を使い、地域ごとのギフチョウの分化の過程を解析した。その結果、現在のギフチョウは遺伝的に六つのグループに分かれることが判明。90万年前以降、日本海側を中心としていた生息域をまず東海地方へと拡大し、その後中国、関東地方へと広がっていったことが分かった。
 幼虫はカンアオイという植物を餌にするが、中国地方では近縁のミヤコカンアオイを食べる。愛好家の間では、東日本の幼虫にミヤコカンアオイを与えると生存率が低いことから、植生に適応したグループが中国地方に広がったとする仮説が提唱されていた。
 土田教授は「愛好家が調べて立てた仮説と今回のデータはほぼ一致している。70年代の仮説の道筋が遺伝学的にも実証された」と話している。

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