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磨いた変幻自在の守備 王者脅かした男子日本代表―21スポーツ回顧・車いすバスケ

東京, 12月15日, /AJMEDIA/

東京パラリンピックの開幕直前、車いすバスケットボール男子の日本代表は米国と練習試合を組んだ。相手の1人が漏らした感想は「楽勝だった」。これを伝え聞いた京谷和幸ヘッドコーチ(HC)の血が騒いだ。「少しむかついた。対戦したら、一泡吹かせてやろう」。大会中のチームの成長を予期し、手の内も隠していた。見返す機会は決勝の大舞台で訪れた。
 第3クオーターを1点リードで終える接戦。米国選手の表情には、疲労の色や焦りが見て取れた。「もう少し時間があったら勝てた」とは豊島英主将(WOWOW)。前回王者を苦しめ、4点差の惜敗だった。
 9位に終わった前回大会後、日本は「ディフェンスで勝つ」を合言葉にした。それは消極的な戦法を意味しない。戦況に応じて多様な守備を使い分けることで、敵のシュート成功率を下げ、ターンオーバーも多く奪った。エースの藤本怜央(SUS)は「日本の守備は変幻自在」と誇る。
 初のメダル獲得を決めた英国との準決勝では、「フラット」と称する守備を披露した。5人が横の連係を保って徐々に下がって守る。対応が遅れた相手の苦し紛れのシュートが次々とリングを外れた。日本の戦い方は、藤本に言わせれば、「相手が壊れていくバスケ」だった。
 緻密な守りを可能にしたのは、磨き上げた運動量。京谷HCは「外国選手が1回こぐ間に日本選手は3回こげる」。海外勢との実戦機会がなく、日本の戦術がベールに包まれていたことも大きい。今後はライバルによる研究が進むだろう。頂点を目指し、続投する指揮官は新たな策を練っている。

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