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松野長官、問われる調整力 政権の番頭役、行方左右

東京, 11月16日, /AJMEDIA/

 衆院選を乗り切った岸田文雄首相が政権運営を本格化させる中、松野博一官房長官の手腕に関心が集まっている。内閣の要の官房長官の働きぶりは政権の行方を左右する。新型コロナウイルス対策など難題は山積しており、「調整型」(政府関係者)と評される松野氏の真価が問われそうだ。
 「こんにちは。お会いできてうれしいです」。松野氏は15日、首相官邸を訪れたレモンド米商務長官と会談し、穏やかな口調でこう語りかけた。
 松野氏の抜てきは首相の強い意向だ。松野氏が所属する最大派閥・安倍派の安倍晋三元首相は側近の萩生田光一経済産業相の長官起用を首相に要求した。それでも首相が松野氏に白羽の矢を立てたのは、政調会長時代に会長代理だった松野氏と肌が合い、信頼関係を築いたからだ。
 官房長官は永田町や霞が関ににらみを利かせる内閣の番頭役。安倍氏が7年8カ月も政権を維持できたのは、官房長官だった菅義偉前首相が重要局面で矢面に立ったことが大きかった。
 その菅氏を「大きな目標」と公言する松野氏だが、持ち味は菅氏と正反対だ。菅氏が省庁の人事権をてこにトップダウンで政策を進めたのに対し、「温厚で悪く言う人はいない」(周辺)と評される松野氏は「環境整備が仕事。各閣僚が仕事をしやすい環境を作っていくのが役目」とソフト路線を標ぼうする。
 一方、政権中枢での動き方にまだ慣れていないようで、衆院選中に北朝鮮がミサイルを発射した際、松野氏は官邸を空けていた。選挙への影響を懸念する与党内からは「自覚がない」(閣僚経験者)と叱責する声が上がった。
 衆院選後の与党協議の焦点となった18歳以下への10万円給付をめぐっても、松野氏が動いた形跡はない。自民党内では「存在感がない。もっと前に出るべきだ」(中堅)との声も漏れる。

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