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国葬基準作りは「困難」 「民主的プロセスを」―政府、有識者の意見公表

東京, 12月23日, /AJMEDIA/

 政府は22日、9月に行った安倍晋三元首相の国葬に関する有識者ヒアリングの結果を公表した。主に野党が求めていた国葬の対象者を決める基準作りについて、困難との意見が相次いだ。岸田文雄首相が国会に諮ることなく閣議で実施を決めたことには、「民主的プロセスを踏むべきだった」との厳しい指摘が目立った。
 意見聴取は国葬後、憲法や行政学の学者、報道機関の論説委員ら21人を対象に対面で行われた。「実施の意義」「国会との関係」「対象者」など七つの項目について論点を整理した。首相は国葬の「検証」を行うと国会で表明していたが、実際には有識者からの意見聴取にとどまった形だ。
 国葬の意義を巡っては評価が分かれた。「(安倍氏への)国の礼遇として実施してしかるべきだった」「テロに屈しない姿勢を示した」といった肯定的な意見の一方、「国民に対立が残り負の遺産を生んだ」「国民全体で弔意を示すのは時代錯誤」との否定的な声もあった。
 国葬の決め方に関しても、国会の事前関与を求める意見と、内閣の裁量で実施可能と岸田政権の対応を容認する立場に二分された。ただ、内閣の裁量を認める複数の有識者からも、三権の長の意見聴取や、野党への説明が必要だったとの指摘があった。
 対象者の基準作りには「時々の内閣が判断を積み上げていくしかない」「政治家の評価は固定できない」などと否定的な見解が目立った。安倍氏を国葬とした理由に挙げられた在任期間を含め、客観的な基準が必要という意見もあった。
 この間の首相の対応には、「いきなり国葬を行う方針を説明し、世論の疑問や反発が高まってしまった」「首相がテレビや動画サイトで国民に直接説明すべきだった」などと説明不足を指摘する意見が相次いだ。
 松野博一官房長官は22日の記者会見で、国葬にかかった経費が10月の速報段階から4000万円程度減って約12億円だったと発表。ヒアリング結果は「何らかの形で国会にもお届けしたい」と語った。ただ、ルール化を含む今後の対応については「引き続き検討したい」と述べるにとどめた。

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