Site icon AJMEDIA 日本語

参院選控え負担先送り 賃上げ税制で「岸田カラー」―政府・与党

東京, 12月11日, /AJMEDIA/

 政府・与党は2022年度の税制改正で、金融所得課税の強化を「検討課題」にとどめた。負担増が来年夏の参院選に影響することを回避する思惑とみられる。一方、岸田文雄首相が「成長と分配の好循環」を看板に掲げていることを踏まえ、賃上げをした企業に対する優遇税制は盛り込み、「岸田カラー」をアピールした。
 首相は9月の自民党総裁選で、格差是正策の一環として富裕層への課税強化を打ち出した。だが、日経平均株価の急落を受けて「金融所得課税を考える前にやることはいっぱいある」と方針を修正した経緯がある。
 今回の先送りについて、自民党税制調査会幹部は10日、「衆院選直後で業界団体に根回しする時間がなかった。来年末ならできる」と釈明。閣僚経験者は「衆院選と参院選に挟まれる中では議論しづらい」として、背景に参院選があることを否定しなかった。
 これに対して賃上げ税制は、給与総額を4%以上増やした大企業は法人税の控除率を最大30%、2.5%以上増の中小企業は最大40%に引き上げる内容。岸田派のベテランは「岸田色を出せた」と強調し、公明党の山口那津男代表は記者団に「かなり大きな前進だ」と評価した。
 首相は10日の参院代表質問で「経済界の代表と向き合い、賃上げを直接働き掛けた。さまざまな施策を講じ、環境整備に全力で取り組む」と訴えた。
 ただ、賃上げは安倍晋三元首相が第2次政権以降に注力してきたが、それにより本格的な経済成長の軌道に乗せたとは言い難い。自民党の福田達夫総務会長は記者会見で「一般の方が潤う実感まではいっていない。今回で完成ではない」と指摘した。

Exit mobile version