東京, 11月28日, /AJMEDIA/
公明党が党勢回復の懸かる来年4月の統一地方選に向け、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題の余波をかぶる事態を警戒している。創価学会を支持母体とする事情から、「政治と宗教」の関係に注目が集まることは逆風となりかねないと判断。前哨戦と位置付ける茨城県議選(12月2日告示、11日投開票)の完勝を目指し、山口那津男代表ら幹部が積極的に応援に入っている。
「茨城県議選は統一地方選の前哨戦と言われている。皆さんの力で公明党の力を出せる場を与えてもらい、大いに全国をリードしていきたい」。山口代表は27日、茨城県土浦市で街頭演説し、支持を訴えた。
茨城県議選は定数62で、公明党は現有4議席の維持を目標に4人を立てた。石井啓一幹事長は25日の記者会見で「(県議選の)結果は各党の勢いを示すものになる」と指摘。統一地方選へ追い風としたい考えを示した。
公明党は統一地方選を国政選挙並みに重視する。源流となる創価学会文化部が1955年の統一選で多数の候補者を当選させ、国政進出のきっかけとなったためだ。党の地方議員は全国に約2900人おり、国政活動の下支えにもなっている。
だが、創価学会の会員高齢化などによる党勢の衰えは否めない。公明党の比例代表得票数は今年7月の参院選で618万票と、99年に自民党と連立を組んで以降の最低に落ち込んだ。前回2019年の統一地方選でも大阪市議選と京都市議選で1人ずつ落選。候補者を絞り込む公明党にとっては衝撃の結果だった。幹部の一人は「組織の力が弱っている。次の統一選でも相当減らすだろう」と危機感を強める。
追い打ちを掛けるのが党所属国会議員らのスキャンダル。元衆院議員が貸金業法違反事件で今年3月に有罪となったのに続き、9月にはセクハラ行為が報じられた参院議員が辞職。同月の党大会では地方議員から綱紀粛正を求める声が出た。岸田内閣の閣僚の連続辞任も政権の一角を担う公明党に悪材料だ。
旧統一教会問題に関しては、宗教団体一般に厳しい目が向くことに神経をとがらせる。党幹部は「宗教法人ではなく悪質な団体の問題だ」と強調。来年に持ち越さないよう被害者救済新法を今国会で成立させたい考えだ。
ただ、創価学会に批判的な報道も出てきている。会員の寄付について、週刊新潮が「額はおおむね収入の1割が目安」と報じたことなどに対し、創価学会は25日、「全くの事実無根」とする抗議書を送付したと発表した。