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与野党、財源論置き去り 経済政策「分配」競い合い―衆院選【21衆院選】

東京, 10月17日, /AJMEDIA/

与野党は衆院選(19日公示、31日投開票)の経済政策で、現金給付や減税など「分配」を競い合う。ただ、その裏付けとなる財源の議論は事実上置き去りのままだ。岸田文雄首相(自民党総裁)と、野党第1党である立憲民主党の枝野幸男代表は、いずれも赤字国債の活用に前向きで、借金頼みの姿勢が鮮明になっている。

 「財源はもちろん大事だが、経済を回し始める前から増税、財源の問題に手を付けると、経済そのものを壊してしまう」。新型コロナウイルス対策をめぐり、首相は15日夜の民放番組でこう指摘。その上で「今は緊急時だ。国債を使って思い切って財政出動する」と明言した。

 首相は数十兆円規模の経済対策を策定する方針を掲げる。コロナ禍で打撃を受けた事業者に対し、地域や業種を限定しない支援を約束。生活に困窮する個人についても「現金を直接支給する支援が重要だ」と強調した。

 ただ、こうした施策の財源は、国の借金である国債となる見通しだ。自民党は衆院選公約に「財政の単年度主義の弊害を是正する」と明記。国家的な課題に長期的な視点で取り組む姿勢を示したが、国・地方の基礎的財政収支を2025年度に黒字化する政府目標には触れなかった。

 公明党は「未来応援給付」と称し、「18歳以下の子どもに一律10万円相当の給付」や「マイナンバーカード所有者に3万円分のポイント付与」を訴える。バラマキ批判も根強いが、山口那津男代表は14日の民放番組で「税収の範囲でできる」と反論した。

 野党も痛みを伴う財源の議論に及び腰だ。立民は低所得者に対する年12万円の現金給付を提唱。法人税の累進税率導入や金融所得課税の強化など「増税策」も掲げるが、時限的な年収1000万円程度までの「所得税ゼロ」や消費税率5%への引き下げなど「減税策」を同時に打ち出し、その収支は曖昧なままだ。

 コロナ対策に関し、枝野氏は「100年に1度の災害対応だ。国債を発行してでも乗り切らなければならない」と主張。首相に正面から財政再建の議論を挑む姿勢は見えない。

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